1杯?yenもすごいけれど…。 | The earth is round.

1杯?yenもすごいけれど…。

とあるワイン屋さんのワンコインのテイスティングコーナーを通りかかると…
「ちょっと。そこのあなたに、こちらをごちそうしましょう。」
と白髪の男性。お年は70歳前後でしょうか。

ワインを注いでいたお店の男性も
「私たちも滅多にお目にかかることの出来ない品ですよ。ぜひ。」
とにっこり。

で、では…
と、ありがたく頂戴しました。

いつの間にかお店のソムリエの方たちも集まって、
大勢でお味見をすることに。

皆さんのお話を統合すると…
どうやら畑はブルゴーニュのシャンベルタン、
品種はピノノワール、
そしてかなりのビンテージ、
…らしい。

色は透き通るような赤、でも深紅色。
顔を近づけると立ち上る香りは優しくて芯があって、
まろやかなのに味わいが深い。

確かに、これまでに飲んだことのないタイプの
赤ワインでした。

0が二つ違いますからね。
とソムリエさんがつぶやく。

グラスワインがワンコイン、
つまり500円。
二つ違うとするとこの1杯は…ふーん…

「どうだい?ちがうだろ~」とふるまってくださったおじいさま。
「は、はい。」と私。

「ふっふっふ!ざまあみろ!」…とおじいさま。

そうおっしゃりたい気持ちも分かる、納得の1杯です。
でも、なんか悔しかったので、

「大変おいしくいただきました。ごちそうさまです。
 近くに住んでおりますので、きっとまた近いうちにお目にかかりますね。」

と、やたらキリっとしたご挨拶をして、名刺をお渡して帰って参りました。

月2回、日曜日14時にここにいるから、とおじいさま。

また次回、彼を取り囲む優雅なワインの時間に、
私も仲間入りさせてもらえるかもしれません。

お高いワインもさることながら、
なんだか可笑しくて楽しげな誰かの人生の一幕。

通りすがりに垣間みることが出来た、日曜の昼下がりでした。