「お久しぶりです」

「君が東京を離れて、18年になるよ」

「年、取ったわ」

 彼女は、少し笑いながら言った。

「お互い、40代になるんだからね、当然だ」

 お互い、前を向いたまま、目線を交わす事無く会話は続く。

「食べる量に、気をつけないと、すぐ太るわ」

「年を取って、基礎代謝が落ちてるんだと思う、分かるよ」

 「でも、綺麗だよ」くらい、褒めた方がいいのか、ちょっと頭によぎって少し間が空いて、間がこれ以上空くのが怖くて、最終的に、今、一番聞きたい事を、素直に聞いた。

「名前、一義にしたんだね」