マンションのチャイムを押したら、女性が出てきて、その女性、名を鈴美さんと言う。

 鈴美さんも、もうすでに、ちょっと泣いていた。

 リビングに通されたら、そこに男性がいる。

 父だ。

 そうしたら、父も泣いて、三人で泣きながら、リビングのカーペットの敷いてある床に、みんな、なんとなく正座で座り、まずは自己紹介をし、話し出した。

 やっぱり、新田さんの見立ては正しくて、みんなの優しさがすれ違っただけだった。