「あの男が、浮気を?」

「母は、女性と楽しそうにしている所を見たと・・・」

 新田さんは、ちょっと考え込んでから答えた。

「顔は悪くないが、趣味がマニアックで、完全にインドア派の、あの男が浮気を?」

「新田さんの認識では、浮気するとは思えないと・・・」

 新田さんは、コーヒーを一口飲んで、こう言う。

「僕が知りうる限りでは、あの男は君のお母さんを含めても、今まで数人しか付き合った経験がないはずだ。そんな男が浮気するとは、信じ難いなぁ」