「それで、君は今日、わざわざ東京まで足を運んだのは、僕に就職が決まった事を報告するためではないだろう?」

 とうとう本題に入ると思ったら、やっぱり、ちょっと緊張感が増した。

 僕は、少しコーヒーに口をつけ、緊張を和らげようとした。でも、たいして和らぐ事なく、話し始めた。

「僕には、家族はいたけど、その中に父はいなかった。その父を、捜しています。たとえ、他の女性と浮気した男でも、父親ですから」

 少し間をおいて、新田さんが答えた。