「僕は、電力会社に就職が決まって、あとは無事に高校を卒業するだけです」

「しっかりした所に就職が決まったようで、それは良かった。おめでとうございます」

 新田さんは、そう言うと、頭を下げた。

「ありがとうございます」

 僕も、頭を下げた。

「ちなみに新田さんは、お仕事は何を?」

 僕は母に、待ち合わせ場所と、待ち合わせの相手のフルネームが、新田和弥という男性である事、そして些少の父の情報しか教えられてなかった。