新世界・小説版(3) あれから、三十分ほど雪は降り、そしてやんだ。 僕は、金属バットを持ったまま、なんとなく歩き始めた。 ゾンビたちは、みな一様に倒れており、ピクリともしない。 もしかしたら、助かったかもしれないという想いが、少しずつ湧いてきた。 しかし、倒れているゾンビは見るが、生きている人間は、まるで見ない。圧倒的な孤独感が、襲って来る。人寂しい。 僕は、自然とこの首都で一番人が行き交っていた場所、巨大なスクランブル交差点を目指して歩いていた。