自衛隊に入隊して陸士、陸曹と昇進し、ベテランの曹長や准尉になった優秀な隊員が幹部になる3尉候補者、通称SLC。
旧軍でも少尉候補者という制度があったが、胸にたくさんの勲章をつけた下士官から選抜され将校になる制度であった。
部内幹候とは違い曹長や准尉に早くなった者が多いと私は思っている。
30代で曹長に昇進している人とかで定年間際の曹長が3尉候補者って話ではないんだよね。
だから相当優秀な陸曹から選ばれる制度なんだ。
3尉候補者課程とは、下記選考要件に当てはまる准尉・曹長が幹部自衛官に任官する為に履修する課程である。
英称はSLC(Second Lieutenant Course・陸上自衛隊のみの呼称)。
海上自衛隊における当該課程は幹部予定者課程、航空自衛隊においては3尉候補者課程(S)と言う。
Cグループ幹部と呼ばれることもある(Aグループは防大・一般大学出身幹部、Bグループは部内選抜試験合格者)。
部隊勤務に熟練した准尉または曹長の中から試験によって選考され、陸上自衛隊においては各職種学校(一部は幹部候補生学校)、海上自衛隊及び航空自衛隊においてはそれぞれ海上自衛隊幹部候補生学校・航空自衛隊幹部候補生学校において約12週の期間をもって小隊規模の運用に必要な知識及び技能を修得する。
教育終了と同時に3尉に任官し、主に小隊長等として勤務する。
本課程は部内幹候選抜試験に合格できなかった者に対し用意されている制度では必ずしもなく、中には3曹に任命された時から3尉候を目標とし2曹、1曹、曹長と経験を積み資格を得て受験する者もいる。
部隊としては早く曹長に昇任した者、即ち優秀な曹を部内幹候よりも短い教育(短い分は豊富な実務経験によりカバー)で任官させ部隊の即戦力として活躍させようという期待ももっている。
なお、部内幹候と3尉候との併願受験は認められておらず、受験回数は3回までとなっている。
試験は1次試験(筆記)と2次試験(口述)に分かれる。
入校の時点で36歳以上50歳未満の准尉または曹長。
熟練下士官からの叩き上げであるため期待階級は基本的に2尉までとなっているが、陸自では1尉へ昇任し、本部・司令部・総監部の幕僚として勤務する隊員もわずかながら存在する。
「陸上自衛隊の教育訓練に関する訓令」では幹部上級課程(AOC)までが陸自幹部の必修課程とあるが、SLC幹部についてはこの限りではないため、2尉に昇任しても全員は入校しないが、修了者は中隊長等の指揮官に上番する者もいる。
私の親しい先輩が機甲科から通信科の部隊で長く勤務し曹長の時にSLCを受験を機に通信科へ転科して幹部になった。
10年以上幹部でいてもSLC出身幹部は1尉になるのは難しいらしいが、1尉になったところを見ると通信科でも優秀だったようである。
私が戦車の装填手の時に小隊長車に乗っていたが、小隊長はSLCを出たばかりの新品3尉だった。
年は40代半ばくらいの人であったが、機甲科部隊で機甲科の通信小隊で陸曹をしていた人で機甲科なのは間違いないが戦車乗員としてのキャリアは皆無であった。
ベテラン機甲科隊員でも戦車に乗っていない人もいる。
演習中に私が「小隊長、前方のボサに敵散兵!」と車内通話で報告したら「どこ?」と言うので指で指し示した。
ちょっと見ていたが偽装している散兵はなかなか見えないらしい。
「あ!無反動!」と続けて報告、さすがに発見したらしく「砲種連装、前のボサ敵散兵撃て」と号令した。
射撃後「自衛隊に入って何十年になるが初めて敵を見た」と感慨深げであった。
ベテランで同一職種でもこういう人もいるのである