あだちビデオの富士幹部レンジャーの動画。
幹部レンジャーとは、幹部を対象としたもので、富士学校で教育が行なわれる。
レンジャー教官を育成するための課程であり、指導に関する教育が増えるぶん、曹士より期間が長いという。
課程修了者には、通称「金バッジ」と呼ばれる金色のレンジャー徽章が授与される。
レンジャー課程は、おおよそ11週間程度で実施される。7週間の「基礎訓練」と、実戦的な4週間の「行動訓練」の二段階で構成され、基礎訓練では行動訓練に向けた山岳地踏破や潜入に必要な知識と技能の習得が行なわれる。
あわせて身体能力を鍛える「体力調整」と呼ばれる科目が並行して実施される。
体力調整は3段階に分かれ、段階的に訓練の強度が高まり、最後には過酷な「10マイル走」が待っている。
基礎訓練から行動訓練に進むにあたってはいくつかの基準(体力評価)をクリアする必要があり、10マイル走は訓練であると同時に検定でもあるそうだ。
10マイル走以外では、20km走歩、腕立て、懸垂、屈み跳躍、そして障害走などに基準が設けられている。
この訓練を7週間経た後、実戦的な「行動訓練」に移る。
基礎訓練を終えると、いよいよ実戦状況を想定した「行動訓練」に移る。行動訓練では9つの想定(いわゆる仮想シナリオ)が実施され、これらは大きく分けて3段階で構成される。
- 1段階:「基礎想定」
徒歩潜入による比較的単純な任務が与えられる第1 〜第3想定。
- 2段階:「応用想定」
2つの任務が組み合わされた複合的な内容に変化し、潜入方法も水路や空路が加わっていく。
- 3段階:「総合想定」
長期間で複雑な任務が課される第7 〜最終(第9)想定
教官・助教の指導も3段階で変化し、基礎想定では細かいところまで学生を指導するが、応用想定では学生に考えさせるよう指導を減らし、総合想定では必要最低限の指導(危険性がある場合など)に止めるという。
学生たちには、いつ想定が開始されるのか具体的な時間が告げられない。
教官による「状況開始宣言」以降、学生たちは就寝中でも、入浴中でも、食事中でも、非常呼集があれば10分以内に準備を整えて集合することが求められる。
集合した学生たちに“状況が付与”される。つまり、どこに敵がいて、いつまでに何をしなければいけないか、という想定が伝えられる。