バルジの戦いは、第二次世界大戦における西部戦線において1944年12月から1945年1月の間、アルデンヌ高地で行われたナチス・ドイツのドイツ国防軍(以下ドイツ軍)とアメリカ軍を主体とする連合軍との戦闘。
1944年12月16日はバルジの戦いが開始された日。
1944年12月16日、連合軍の重要な兵站基地であったアントワープ占領を目標として、ドイツ軍の3個軍がアルデンヌ地方においてアメリカ軍に攻撃をかけた。
アメリカ軍はアルデンヌでのドイツ軍の攻撃を予期しなかったため、アルデンヌには実戦経験が皆無か、以前の戦闘で消耗していた師団ばかりが配置されていた。
その上悪天候により航空支援も受けられず、緒戦では多くの戦線でドイツ軍の突破を許した。
しかしながらドイツ軍の補給線が伸びて行く一方で、アメリカ軍は増援部隊の到着により防衛線を着々と固めていき、12月25日には最大でもミューズ川手前でドイツ軍の攻勢は阻止され、戦線は「バルジ」(突出部の意)を形成していた。
翌年の1945年にはアメリカ軍による「バルジ」への反撃が開始され、ドイツ軍の作戦は失敗し、ドイツ軍は貴重な戦力や物資を余計に消耗することとなった。
バルジの戦いを描いた映画、テレビドラマを幾つか紹介する。
バルジの戦いを描いた映画といえば「バルジ大作戦」は欠かせないだろう。
『バルジ大作戦』は、第二次世界大戦末期のバルジの戦いを描いたアメリカ映画。
1966年に公開された。
この映画でもっとも印象的なのがアメリカ軍に攻勢をかける前にドイツ軍ヘスラー大佐 ( ロバート・ショウ )が戦車兵を訪ねる場面だ。
そこで戦車兵の若さに不安を覚える大佐に対して、若い戦車長達が歌う「パンツァー・リート」(戦車の歌)を合唱するシーンはこの映画で最も記憶されているシーンだ。
戦車兵魂を鼓舞する素晴らしいシーンだ。
第二次世界大戦末期の1944年12月にドイツ軍がアメリカ軍に対してドイツ側名称「ラインの守り」作戦で大攻勢をしかけ、戦車での戦いで激戦となったバルジの戦いをドイツ軍とアメリカ軍の両方の動きを描いている。
監督はケン・アナキン。ヘンリー・フォンダ 、ロバート・ライアン 、チャールズ・ブロンソン 、テリー・サバラス 、ロバート・ショウ らが出演。
特に戦車部隊を扱った米国製映画としては、最優秀作品と評価される。
当時のスペイン陸軍の装備を借りてロケしたため、登場する戦車等は実際のドイツ軍とは著しく違うものの、台数が(ソ連の映画『ヨーロッパの解放』程ではないが)非常に多く、最後の戦車部隊同士の決戦は見もの(ドイツのティガーII戦車の役はM47パットン戦車、アメリカのM4中戦車の役はM24軽戦車が務めた)。
雪の中の戦いであったはずが撮影地がスペインだったため、後半は砂漠の様な地形(おそらくスペイン軍の演習地)になってしまっている。
実際の戦史とはかけ離れているフィクションも多く、隠居生活を送っていたアイゼンハワー元大統領が公式に抗議声明を出したほどである。
『大反撃』は、1969年公開のアメリカ映画。
この映画は1965年に出版されたウィリアム・イーストレイクの小説を元に製作された。
バルジの戦い間近、アメリカ陸軍ファルコナー少佐(バート・ランカスター)は、パン職人のロッシ軍曹(ピーター・フォーク)、美術専門家のベックマン大尉(パトリック・オニール)、小説家志望のベンジャミン二等兵(アル・フリーマン・Jr)ら、寄せ集めの部下達で成る分隊と共にアルデンヌのとある古城に辿り着く。
ファルコナーは古城を拠点にドイツ軍を迎え撃つ作戦を立てるが、城に膨大な美術品が所蔵されていることを知ったベックマンは損壊を恐れ、作戦に反対する。そんな中、束の間の休息を楽しむ彼ら。
やがてドイツ軍の侵攻が始まったことを知ったファルコナーは敵を迎え撃つべく、町に部下達を進出させる。しかし善戦するも、圧倒的な戦力に押され城へ撤退を余儀なくされる。
そして堀に架けられた跳ね橋は上げられ、庭園での壮絶な死闘が始まった。
『極寒激戦地アルデンヌ 〜西部戦線1944〜』は、2003年に公開されたアメリカ合衆国の戦争映画である。
ライアン・リトルが監督し、コルビン・アルレッドらが主演した。
1944年のバルジの戦いを背景に、マルメディ虐殺事件から逃れた4人のアメリカ兵と撃墜されたイギリス空軍機のパイロットを主人公として、彼らがドイツ軍の包囲から逃れるまでを描く。
1944年のバルジの戦いの最中、マルメディ虐殺事件として知られる事件が発生する。
銃撃と混乱の中、数人のアメリカ兵がドイツ兵の追跡から逃れることに成功した。やがて合流したネイサン・"ディーク"・グレア伍長、衛生兵のスティーブン・ゲルド二等兵、シャーリー・"シール"・ケンドリック二等兵、ゴードン・"ガンディー"・ガンダーソン二等軍曹の4人は友軍を求め森を彷徨うが、身を隠していた山小屋で偶然ドイツ兵らの会話を盗み聞きし、付近で友軍機が撃墜されたらしいとの情報を得る。
ドイツ兵らが去った後に周辺を捜索し、一行は落下傘で脱出したイギリス軍偵察機のパイロット、オベロン・ウィンリー上等兵曹と出会う。
彼はドイツ軍が連合国軍の一大弾薬庫があるリエージュを攻略するべく既に総攻撃を開始したという情報を掴んでおり、これを報告しようと飛行している最中に撃墜されたという。
ドイツ軍がミューズ川を超えるよりも早くこの情報を伝えなければ、リエージュからアントワープまで一気に突破されてしまう。こうして5人の兵士は30キロ離れた司令部へ向けての行軍を始めるのだった。
『バンド・オブ・ブラザース』は、スティーヴン・アンブローズのノンフィクション作品、およびそれを原作にした2001年製作のテレビドラマ。
第二次世界大戦におけるアメリカ陸軍第101空挺師団第506歩兵連隊第2大隊E中隊の訓練から対ドイツ戦勝利・終戦までを描く。
ちなみに極寒のバストーニュの森はセット撮影である。雪は紙片、隊員の吐く白い息はCG合成、寒さに震えているのは全て芝居である。
最後に紹介するのは、『戦場』は、1949年のアメリカ合衆国の戦争映画。
監督はウィリアム・A・ウェルマン、出演はヴァン・ジョンソンとジョン・ホディアクなど。
第二次大戦末期の1944年12月。ドイツ軍はベルギーでバルジの戦いと呼ばれる反転攻勢を開始。
キニーが率いる部隊にもベルギーへの移動命令が出る。
ホリーら帰国を心待ちにしていた兵士達は当惑しながらも戦地へ向かう。
部隊は要衝の地バストーニュに到着。霧が包む森に布陣するが、ドイツ軍に情報が漏れており偵察に出たロドリゲスが戦死。
砲撃が続き、軽武装の兵士達は苦戦を強いられる。
ウォルウィッツ軍曹も負傷、病気のスタンディファードと共に戦線を離脱。
軍曹の役目はホリーが引き継ぐ。鉄道を巡って戦闘となり、ドイツ軍を撃退するが、アブナーが戦死、ハンセンも負傷して野戦病院へ送られる。
ドイツ軍の将校に降伏を勧められるが拒否。
しかし悪天候のため補給が間に合わず戦闘不能のところまで追い込まれる。
やがて天候が好転。空輸による補給が再開し、大量の武器を手にしたアメリカ軍は大攻勢に出る。
キニーの部隊も連戦連勝を続けるが、軍の首脳は重武装の機甲部隊の投入を始めており、彼等は伝説の部隊に過ぎなくなっていた。