最強兵器レールガン(電磁砲) | 戦車兵のブログ

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レールガンは、物体を電磁誘導(ローレンツ力)により加速して撃ち出す装置である。

 

なお、電磁気を使う投射様式全般の呼称としては、電磁投射砲EML 、電磁加速砲などがある。

 

原理的には古くから知られていることもあり、サイエンス・フィクション関連やゲームなどの作品に幅広く登場しているが、それらの作品では主に兵器として扱われていることが多い。

 

なお、レールという言葉が含まれているが、いわゆる鉄道や列車砲とは無関係である。

 

 

この装置は、電位差のある2本の電気伝導体製のレールの間に、電流を通す電気伝導体を弾体として挟み、この弾体上の電流とレールの電流に発生する磁場の相互作用によって、弾体を加速して発射するものである。

 

 

弾体を加速し発射する力は、アンペールの法則でわかるように、主にレールと移動をつづける弾体(電気伝導体)の接点付近に生じる。

 

また、直線導体による弱い磁場であるから、非常に大きな電流を流し続ける必要があり、さらに十分な発射速度を得るためには、加速に十分な距離を取る必要がある。

 

 

一方、弾体を含め電気回路を形成するためには、レールに弾体(それに取り付けられた電気伝導体)の一部が接触している必要があり、この箇所に摩擦および移動に際しての摩擦熱が発生する。

 

さらに摩擦が起きる電気接点において、わずかな電気抵抗でも生じれば、投入される大電流のために大きなジュール熱が発生し、この電気伝導体等の一部が蒸発・プラズマ化する問題もある。

 

 

 

 

弾体とレールの接点が蒸発して接点が取れなくなれば、電気回路としての装置に電流は流れず、弾体は発射装置内に取り残される。

 

なお、流体としての性質を持つプラズマにも電気伝導体としてローレンツ力が働くが、このプラズマが飛散してしまえば、やはり弾丸は取り残される。

 

このため、電気伝導体としてのプラズマを逃がさないようにする工夫も見られ、プラズマを電気伝導体として扱うものでは、弾体自体は必ずしも電気伝導体である必要はなく、この弾体の進行方向から見て後方に薄い金属箔を貼り付ける様式もある。

 

 

 

 

このように実用化には問題が多いと考えられ、これらの装置は2012年時には、概念的な架空のものとしてや、実験段階のものや試験段階のものなど、実用化は進んでいないが、様々な利用も想定されている。

 

実用化の一つとして、2016年に米軍が、電磁加速砲を洋上実験する計画が明らかになっている。

 

 

2019年現在、米国、ロシア、中国、トルコなどの国家がレールガンの軍事研究を進めていると発表しており、日本においても実験室レベルでの電磁加速システムが作成されている。

 

技術的には米軍が最もこの分野をリードしており、陸上と艦船で何度もテストを実施している。

 

また、トルコ軍は多種の兵器応用能力を備える電磁砲を開発し、国際防衛見本市で販売している。