撃つためのデザイン 「ウインチェスター」 | 戦車兵のブログ

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ウィンチェスターライフルは、西部開拓時代のアメリカにおいてウィンチェスター社が開発したレバーアクションライフルである。

 

 

西部開拓時代のアメリカにおける銃器開発で有名になった企業としてコルト社が挙げられる。

 

SAAをはじめとしたコルト社製リボルバーは開拓時代において保安官から巷のならず者に至るまで護身用として所有していた拳銃であるが、それに平行してライフル銃を製造していた企業がウィンチェスター社である。

 

 

ウィンチェスター社はオリバー・ウィンチェスターにより創業され、もともとは開拓民の洋服などを販売していた企業であるが、1857年にボルカニック・リピーティングアームズ社の武器製造工場を買収し、ニューヘイヴンアームズ社としてライフル銃などの武器製造を始め、ヘンリーライフルとして知られるレバーアクションライフルの製造権を取得すると、オリバーの息子であるウィリアムにより全米で販売を開始した。

 

 

そして1866年にウィンチェスター社として改名後、ヘンリーライフルに側面装填口や先台を付けるなどの改良を施した「M1866」と、その改良型でセンターファイア実包が使える「M1873」によって人気を博した。

 

 

特にM1873は弾丸の共有可能なコルトSAA「フロンティアシックスシューター」(44-40弾仕様)と共に西部を征服した銃とも称されて名高い。

 

 

レバーアクションとは銃の機関部下側に突き出た用心鉄を兼ねたレバーを下に引き、それをまた戻すことで薬室から空薬莢を排除すると同時に次弾を装填するという仕組みで、チューブマガジン(管状弾倉)を備えることでそれまで1発発射するたびに弾込めが必要であったライフル銃を連射できるようにしたものである。

 

この機構はシャープスなどの単発式のライフルに採用されていたのを、ホーレス・スミスとダニエル・ウェッソンが開発したボルカニック連発銃で連発に改良されたものであるが、使用弾薬が特殊なケースレスカートリッジであるロケットボール弾であったため、これをリムファイア弾で使用可能にしたヘンリーライフルを経て、最終的にジョン・ブローニングが1894年に改良したものである。

 

余談であるが、ボルカニックを開発したスミスとウェッソンは、後にアメリカ最大の銃器会社S&W社を設立している。

 

改名後もライフル銃の生産を盛んに行ってきたウィンチェスター社は、その後もレバーアクションライフルの生産を続け、民間用では西部を代表するライフルメーカーとなった。

 

このウィンチェスターライフルの中でも有名な機種としては西部劇に多く登場する「M1866(イエローボーイ)」、「M1873」が挙げられるが、これらはいずれも強力なライフルカートリッジの連射に充分に耐えられるほどの耐久力を持っておらず、ライフルでありながら実際は拳銃弾しか使用できないというものであった。

 

 

 

 

この問題点を改善するため、まずは「M1876」が完成。更に有名な銃技師ジョン・ブローニングによって「M1886」が、次いで「M1892」が開発され、それを基にレバーアクション方式を継承しながら新機構の採用や機関部の強度向上を施した「M1894」が完成した。

 

 

このM1894はいくつかの軍隊に対して売り込みが行われたが、レバーアクション方式のライフルであるがゆえに機構が複雑で機関部が露出する部分も多かったため、泥やホコリまみれの野戦には不向きであると判断され、軍では不評であった。

 

また、チューブマガジンでは尖頭弾がセンターファイア実包の雷管に干渉するので、暴発の恐れから平頭弾しか使用不可能なこと。

 

発射に伴って弾倉重心位置が移動してしまうなどの欠点も軍用に不向きとされる要因であった。

 

 

ブローニングが設計に関わったものとして ショットガン用の弾薬を使用する「M1887」というモデルも存在するが、大柄なショットシェルとは相性が悪かったらしく、作動不良を起こすなど評価は芳しくない。

 

 

アメリカ陸軍では評判の悪かったウィンチェスターライフルであるが、その後ロシア帝国から発注を受けることになる。

 

当時のロシア帝国における標準的なライフル弾は7.62x54mmR弾(尖頭弾でラシアンと呼ばれた)であったため、ウィンチェスター社はこのラシアン弾を使用できるように改良し、垂直式の弾倉を装備した「M1895」をロシアに輸出した。

 

M1895は予定通りロシア軍に採用され、最後の軍用レバーアクションライフルとなった。

 

 

ウィンチェスターM1887/1901は、アメリカ合衆国のウィンチェスター社が製造していたレバーアクション式の散弾銃である。

 

ウィンチェスターM1887は、作動方式としてレバーアクション式を採用した珍しい散弾銃であり、最初に成功した連発式散弾銃と言われている。

 

 

後にM1887の改良型として、より強力な無煙火薬の弾薬に対応したウィンチェスターM1901が製造されている。

 

 

設計を担当したのは、有名な銃器設計技師であるジョン・ブローニングである。

 

しかし、ブローニングは開発当初、散弾銃にはポンプアクション式の方が適切であるとウィンチェスター社に提案していた。

 

しかし、ウィンチェスター社は、自社のブランドと言えるレバーアクション式を採用してほしいとの見解を示し、これをブローニングが了承したため、レバーアクション式が採用された。

 

 

薬室などは、黒色火薬を発射薬にした弾薬に対応して設計され、こうして完成した10ゲージ弾と12ゲージ弾仕様のものは「Model 1887」として製造された。

 

 

しかし、黒色火薬に対応して作られた薬室は、初期の無煙火薬を使った弾薬には問題なかったものの、より強力な無煙火薬が出現するにつれて、耐久力が問題となっていった。

 

そのため、強力な無煙火薬に対応するために再設計された「Model 1901」が開発されたが、ウィンチェスター社は、M1901の完成当時、高い人気を誇り大成功を収めていたウィンチェスターM1897 ポンプアクション式散弾銃の対抗馬になってほしくなかったため、10ゲージのものしか製造しなかった。

 

 

M1901に見られる、M1887との相違点は以下の3つである。

  • 2本のレバー。
 
  • ウィンチェスターのトレードマークである商標スタンプは上の方へ動かされ、撃鉄の後ろ側に付いている。
 
  • 64856-79455の間のシリアルナンバーが付けられている。
 
映画『ターミネーター2』で、T-800がバイカーバーの店主から強奪したソードオフ型のM1887を、T-1000に対して使用する。
 
作中では、バイクの運転中はスピンコッキングと呼ばれるテクニックを片手で用いながら、連続射撃を行っている。
 
そのため、レバーは通常よりも大型のものが取り付けられており、トリガーガードが外されている。
 
また、現実より多い7連射をしているシーンがある。