戦車兵の歌と言えばドイツ軍の軍歌「パンツァーリート」を抜きに語れない。
ドイツ語で「Panzerlied」。
1933年に作られた。
アドルフ・ホフマン(Adolf Hoffmann)作曲、クルト・ヴィーレ(Kurt Wiehle)作詞。
元のメロディーは「ルイスカリート(Luiskalied)」という漁師の歌から取られているといわれる。
陸上自衛隊でもしばしば演奏される。
2006年、ドイツ連邦軍の参謀総長が来日した際、自衛隊の音楽隊はこの歌を歓迎会で原語の歌唱付きで演奏し遠来の賓客を驚かせた。
これ以後、陸上自衛隊音楽隊では「パンツァーリート」を演奏するようになり、第1師団の音楽隊や、東部方面音楽隊がこの曲を定期演奏会で何度か演奏した。
しかし、元戦車乗りとしては陸自音楽隊のパンツァーリートは洗練されすぎていて戦車兵の歌らしくない。
そういう意味では映画「バルジ大作戦」でのパンツァーリートがいいね。
私がパンツァーリートの曲を知ったのもこの映画だった。
嵐も雪も 太陽燦々たる
灼熱の日も
凍てつく夜も
|:顔が埃に塗れんとも
陽気なり我等が心
然り、我等が心
驀進するは我等が戦車
暴風の只中を:| |
戦車兵を表したとても良い歌詞だ。
パンツァーリートは、第1次大戦後のフライコールの行進歌「鋼鉄の軍勢(Die eiserne Schar)」が偶然に「ルイスカリート」のメロディーを使用しており、ここからパンツァーリートが作られ、親衛隊歌集に収録された。
ナチス・ドイツ時代に作られた曲であるが、戦後もドイツ連邦陸軍で歌詞を一部変更しながら歌われていた。
しかし、ドイツ連邦軍の歌集に親衛隊の歌が収録されているのは問題であるという指摘がなされ、2017年5月にはドイツ国防省は「現代の価値観に合致しない」として、この歌や「はしばみの実はこげ茶色」、「ヴェスターヴァルトの歌」などのナチス時代の曲が含まれていたドイツ連邦軍の歌集の使用を停止した。
この歌はドイツ以外の国の軍隊にも採用され、一例としてフランス陸軍の第501戦車連隊は行進曲として、また同国の外人部隊は「Képi blanc(ケピ・ブラン)」という軍歌のメロディーとして用いている。
なお、ドイツ語の「Panzer」は戦車・装甲車両などを表す語であり、ドイツ軍戦車の登場する作品で使われることが多いが、この曲が誕生した1933年当時のドイツは、ヴェルサイユ条約によって戦車の開発を禁じられていた。
日本では『ガルパン」の黒森峰学園の曲として「パンツァーリート」が使われていてとても親しまれている。
本場ドイツでは悲しい扱いなのが残念だが・・・。