空自のスクランブルで支那のドローンによる領空侵犯に対処するのには費用対効果の面でも現実面でも問題が大有りである。
海保に対処できるならお願いするしかないね。
以下産経ニュースより転載
政府が、小型無人機「ドローン」による領空侵犯への対処策として、海上保安庁の巡視船に電波妨害装置を搭載しドローンの飛行を阻止する検討に入ったことが30日、分かった。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で5月に中国公船から飛行したとみられるドローンが領空を侵犯したことを受けた措置。
航空自衛隊が担ってきた対領空侵犯措置を海保が補完するもので、法的根拠も整理する。
5月に領空侵犯したドローンは、尖閣周辺の領海に侵入した中国海警局の船の近くを飛行しているのを海保の巡視船が発見。
尖閣周辺でドローンの飛行が確認されたのは初めてだった。
海保から連絡を受けた空自のF15戦闘機が緊急発進(スクランブル)で対応したが、小型のドローンはF15などのレーダーに映らず、パイロットが目視もできないためスクランブル対応を疑問視する声が多い。
そのため、政府は海保にドローンに対処する能力を保有させる方向で検討に着手し、電波妨害装置の導入が有力になった。
ドローンは電波で遠隔操作されるため、その電波を妨害することで飛行を不能にする。
海保の巡視船は尖閣周辺を航行する中国海警局の船を常時監視しており、船からドローンが飛行すれば即座に対処できる利点が大きい。
電波妨害装置は一式につき数億円のものが想定されている。
ドローンの飛行阻止に有効か機能を検証するため、先行的に試験導入することも視野に入れる。
法的根拠は海上保安庁法を改正し、領空の治安を維持するための警察権の行使として必要な措置を取ることができる規定を設ける案が検討される見通しだ。
海保が「領空」も警備 主権死守に大転換
海上保安庁が中国の小型無人機「ドローン」の領空侵犯に対処する電波妨害装置を導入すれば、海保にとって初の対空装備となる。
海保が「領空警備」にも対応できるよう任務の幅を広げることは主権を死守する上で効率的で、航空自衛隊が担ってきた対領空侵犯措置の大転換と位置づけられる。
自衛隊法は領空侵犯への対処について、「防衛相が自衛隊部隊」に侵犯機を着陸させたり領空から退去させたりするため必要な措置を講じさせると規定。
これに基づき空自戦闘機が領空侵犯やその恐れのある領空接近に緊急発進(スクランブル)で対処している。
ただ、ドローンへの戦闘機のスクランブルは実効的な対処とはいえない。
パイロットが搭乗している航空機の領空侵犯に対しては、空自戦闘機は強制着陸命令や曳光(えいこう)弾を発射する警告射撃を行うが、無人機のドローンに効果はない。時速1千キロ超の戦闘機が時速数十キロのドローンを追尾することも不可能。
ドローンを飛行させている中国海警局の船に強制着陸を命令しても従うとはかぎらない。
自衛隊幹部は「ほかに手段がないという理由だけでドローンに対する『航空警察』の役割を空自に担わせることは無意味だ」と指摘する。
一方、尖閣周辺での海警局の船による領海侵入と同じように、中国がドローンを使った領空侵犯を常態化させる恐れも強く、主権が侵害される事態を放置することは許されない。
有事とも平時ともいえないグレーゾーン事態への対処では自衛隊と海保の任務の隙間を埋めることが欠かせず、電波妨害装置の導入は先行事例となり得る。(半沢尚久、川畑仁志)
(産経ニュース)
こういう最前線で今起きている現実って報道されることも少ないし、真実すら日報問題を見ても解らないものなのだ。
日報に戦闘と書いてあるからいけないと隠蔽したいう話より、現実に戦闘が起きていることが報道すらされず報告にも書けないということが問題なのだ。
自分達の頭上を弾が飛び交っているのに「戦闘」じゃなく「武力衝突」と表現したところで戦闘している現実は変わらない。
政治家は言葉遊びしていればいいのかも知れないが現実を隠してしまえば現実離れした議論で自衛隊は困難な任務を担うことになる。
今回のドローンのような柔軟な思考も大事だし、現実的なことをやらなければ民主党政権下の時のように福島の原発事故の上空をヘリで強行偵察させる愚行をさせることになる。
無人偵察機の導入に頑なだった民主党政権を見れば現実離れした議論がいかに空虚で無意味かが解っているだろう。
そうならないためには国会でももっとまともな話をして欲しいものだ。