
アニメ劇場版「ガールズ&パンツァー」も公開3週目に入りまだまだその人気は衰えることを知らないようだ。
劇中に出て来る戦車の実物は日本ではお目にかかれないが、海外の博物館では実物が展示されている。
以下産経ニュースより転載
女子高生が戦車に乗ってライバル校のチームと戦うという破天荒な設定のアニメ「ガールズ&パンツァー」が映画になり、11月21日から公開されて人気を集めている。
これまで戦車を前面に押し出したアニメはほとんど無かったが、女子高生を主役に据えたことに加え、戦車の運用や整備、戦術面のリアルな描写から人気に。
舞台となった茨城県大洗町には多くのファンが訪れ、地元の商店や旅館も「町おこし」として協力、グッズを製作するなどブームが広がっている。
映画に登場する有名無名の戦車は、日本で実物を見るのはほぼ不可能だが、欧米では科学技術遺産や文化財として博物館に保存されている。
今回はそうした博物館を紹介しよう。(岡田敏彦)

博物館の本場「英国」
アニメは「戦車道は乙女の伝統武芸」という設定で、女子高生が学校対抗で“模擬戦”を行うもので、映画をPRするテレビCMでは実物大模型(プロップ)のドイツ4号戦車が登場するなど“実物”にも注目が集まっている。
日本には本格的な戦車博物館はないが、海外なら本物を見ることが可能だ。

最も気軽に訪問できる博物館のひとつは、英国のインペリアル・ウオー・ミュージアム(帝国戦争博物館・IWM)。ロンドン市内の中心部にあり、市内の観光地を巡るついでに立ち寄ることができる。
同館収蔵の車両は保存状態も良好で、70年以上前に製造された“骨董(こっとう)品”とは思えないほど。

英国戦車が所狭しと
第二次大戦を通じて戦い、戦車開発史のマイルストーンと評価される名戦車「T-34」の火力強化型「T-34/85」を始め、ドイツの主力中戦車パンターに一まわり大きい砲を搭載した駆逐戦車「ヤクトパンター」(初期生産車)などが展示されている。
同館には、劇中に登場するマチルダやチャーチルMk7など英国戦車に加え、航空機も多数展示している。
館が吹き抜け構造のため、展示してある戦車を2階から見下ろすことが可能だ。
他の博物館ではなかなか拝めない戦車の天面を観察できる。

さらに多くの戦車を見たいなら、ボービントン戦車博物館(ドーセット州)が手ごろ。ロンドンから電車で約2時間半、ウール(Wool)駅からタクシーで2・5キロと時間はかかるが、英国を始めドイツ、フランス、日本など世界26カ国の戦車約300台を擁する。
アフリカで捕獲され、完璧に修復され現在も走行可能なティーガー戦車(初期型)に加え、映画に現れる英国戦車センチュリオンMk1も展示されている。

ドイツの主力戦車として有名なパンター戦車も展示しているが、この館のパンターは貴重な存在。
終戦後にドイツの技術を参考にすることなどを目的に、進駐してきた英陸軍が、パンターを生産していた工場のひとつ、マシーネンファブリケ・ニーダーザクセン・ハノーバー(MNH)社の工場の工員に命じて、未完成で放棄されていた車両を完成させたもので、戦争末期の車両の特徴を色濃く残している。
同館は走行可能なまでに修復、整備した戦車も多く、観光シーズンの7月には収蔵車両のデモ走行も行っている。
館外には今後再生修復していく予定の戦車が置かれており、訪問時期によっては館内にない珍品が見られる可能性もある。

敗戦国ドイツにも
こうした博物館は「戦車王国」と言われるドイツにも複数ある。
ヘッセン州のフランクフルト・アム・マイン駅からドイツ国鉄(DB)で約2時間のコブレンツ軍事技術博物館には、珍品の1号対戦車自走砲や3号突撃砲に加え、KPz70などドイツ連邦軍の試作戦車が多数収蔵されている。
また東西ドイツ統合の際に入手した攻撃ヘリコプター「ハインド」など、旧東側の兵器も公開している。
日本では戦闘機や潜水艦など空・海の兵器が注目される一方、戦車に対する一般の興味は薄いが、一因には第二次大戦時の日本の戦車は米英より性能が劣っていたことがあげられる。

しかしドイツでは、連合国の戦車を装甲でも火力でもはるかにしのぐ性能を持つ戦車を開発、生産していたことから、戦車とその生産・開発技術を残すのは当然との意識がある。
そこから戦後派生した技術も含め、軍と民間の区別なく紹介しているのが「ジンスハイム自動車・技術博物館」だ。

アニメに登場する独のヘッツアーやパンターなど多くの軍用車両があるほか、屋上には超音速旅客機「コンコルド」と、そのソ連版「Tu-144」が今にも飛び立ちそうな状態でディスプレーされている。
館内は戦車のほか古今東西の航空機とスーパーカーなどの名車がずらりと並ぶ。
第二次大戦時には戦闘機を生産していたハインケル社が戦後に作ったスクーターなどの珍品も多数展示されている。

「貸し出し中」の可能性も
一方で、訪問に入念な下調べや注意が必要な戦車博物館もある。
米国ではアバディーン戦車博物館が「戦車の聖地」として長年有名だったが、近年は展示戦車を欧州の他施設にレンタルすることが多い。
無料で一定期間貸し出す代わりに、その期間内に本格的なレストア(修復)をしてもらうという契約方式も広がっている。
こうした欧米の博物館では、期間を決めた展示品の交換や貸し出しが頻繁にあり、注意が必要だ。

軍の施設のためセキュリティーチェックもある。またドイツのムンスター戦車博物館は冬季休業があり、開館日の確認が必要だ。
テレビ版で劇中に登場するドイツの巨大戦車「マウス」の世界唯一の実車があるロシアのクビンカ戦車博物館も注意が必要だ。
今年、同館を訪れたNPO法人「防衛技術博物館を創る会」(静岡県御殿場市)の小林雅彦代表理事は「クビンカも改装中で、行ったら見られなかった、という可能性もある」と指摘する。
さらに「従来のクビンカ戦車博物館は、敵味方の戦車を年代順に展示し、どの戦いでどんな戦車が戦ったかわかるよう工夫していたが、改装で大きく変わりそうだ」と展示物の変更にも注目している。
米CNNテレビ(電子版)などによると、ロシアではこの施設を中核に「軍事版遊園地」を作ろうとしており、子供が機関銃を撃ったり、食事は軍の配給食を再現したものだったりと政治色を強めたものにする方針だ。
このため工事や作業が断続的に続けられており、開館日程は流動的で注意が必要だ。
(産経ニュース)

世界では国家が総力をあげて開発し戦場で活躍した戦車をちゃんと保存し、中にはちゃんと動くものも少なくない。
ウクライナでもロシア軍との紛争になった時に地元の博物館から戦車を持って来て使用していた。
骨董品でもないよりましという考え方なんだろう。
猫の手でも借りたい時に猫すらいなかったら困るからね。
日本ではそんな旧日本軍戦車は少ないというよりほとんど無いに近い。
動く日本軍戦車もオリジナルのエンジンじゃないし・・・。
航空機にしろ戦車にしろ多額の税金で開発され製造されたのに日本は敗戦すると完全に過去の遺物として国は無視した。
他国の戦車を見ると悔しい・・・。
自衛隊でも展示している戦車が邪魔だと廃棄したことがあった。
真駒内の十一戦車大隊の士魂の61式戦車だ。
こうやって後世には500年前の城や甲冑、刀剣は保存されても70年前の近現代の戦争の遺物は残されないという状態になっている。
中国人のコレクターが日本軍関連のものを日本に来て買い漁っているという話も以前からあったし、ネットオークションでも落札するのは中国人ばかりと聞く。
日本人がそういう意識がないと日本にそういう戦争遺産が消えてしまう。
アニメの中でしか観られないというのでは悲しいね。
九七式戦車が軍歌「雪の進軍」の曲で吶喊するシーンは鳥肌だったよ。
ガルパン・・・、観に行こうかな。