軍隊の編制 | 戦車兵のブログ

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元陸上自衛隊の戦車乗員である戦車兵のブログ
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軍隊の編制は軍隊の装備や将兵を管理し、戦闘能力を発揮させるために構成された組織構造である。



近代陸軍の編制


現代まで続く近代陸軍の編制は、根幹となる部隊の名称の上では、18世紀にナポレオンが率いたフランス軍のものからあまり変わっていない。


しかしその中身は複雑化と柔軟化に向けて20世紀に大きく様変わりした。


兵科


()内は別名


歩兵(擲弾兵・狙撃兵・猟兵・普通科など)


機械化歩兵(装甲擲弾兵・自動車化狙撃兵など)


空挺兵(降下猟兵・落下傘兵など)


山岳兵(山岳猟兵など)


砲兵(特科など) 榴弾砲(野戦特科など)


対空砲(高射特科など)



戦車(機甲科など)


騎兵(軽騎兵・胸甲騎兵・竜騎兵など)


現在は戦車部隊やヘリ部隊の名称として使われる場合もある。工兵(施設科など)


航空兵


偵察(捜索・自衛隊では機甲科など)


整備(段列、武器科など)


通信


補給(輜重兵、需品科など)


軍医(衛生兵など)


など


部隊の単位


近代陸軍の部隊の単位は、以下の通りである。


小隊は複数の分隊で構成され、中隊は複数の小隊で構成され……と階層構造をなす。


軍(army) - 軍団(army corps) - 師団(division) - 旅団(brigade) - 連隊(regiment) - 大隊(battalion, squadron) - 中隊(company, battery, troop) - 小隊(platoon) - 分隊(又は班)(squad) - 班(又は組)(team) - 組(fire team)



20世紀には、旅団 - 連隊 - 大隊のうちのどれかを省く編制が広まった(旅団省略型:アメリカ海兵隊、ロシア陸軍、ロシア空挺軍など。連隊省略型:アメリカ陸軍、ドイツ連邦陸軍など。大隊省略型:フランス陸軍、陸上自衛隊など)。



XXXXXX 総軍   多数   複数の師団以上の部隊   元帥から大将


XXXXX 軍集団   2以上の軍   元帥から大将


XXXX 軍  50,000から60,000ないしはそれ以上   2以上の軍団又は師団   元帥から中将


XXX 軍団  30,000以上 2以上の師団 大将又は中将


XX 師団  10,000から20,000   2から4の旅団又は連隊   中将又は少将


X 旅団  2,000から5,000  2以上の連隊又は大隊  少将又は准将又は大佐


III 連隊  500から5,000  1以上の大隊又は複数の中隊  大佐又は中佐


II 大隊  300から1,000   2から6の中隊   中佐又は少佐


I 中隊  60から250  2以上の小隊  少佐から中尉


••• 小隊 30から60 2以上の分隊 中尉から軍曹


••又は • 分隊(又は班)  8から12 なし。 複数の組に分けられる場合もある  軍曹から兵長


Ø 班(又は組)  4から6 なし。 複数の組に分けられる場合もある   伍長から一等兵


なし  組  1から6 なし  伍長から一等兵
 


小隊または中隊より上の単位は、「司令部」または「本部」と呼ばれる指揮専門の小単位を編制内に有することが多い。


また、歩兵部隊の場合は、歩兵連隊の「歩兵砲中隊」のような火力支援担当の小単位を有することが多い。


戦争遂行上、これらの部隊単位は、大きく戦略単位、作戦単位、戦術単位に分けられる。


第二次世界大戦前後までは、技術的・教義的問題によって指揮統制が十分に細密化されていなかったことから作戦単位という概念は薄く、師団より上の階梯を戦略単位、旅団より下の階梯を戦術単位として扱うことが多かった。


その後、通信技術や戦闘教義が洗練され、また限定戦争状況への対処が再び重視されるようになったことから、作戦単位という概念が再創出された。


戦略・作戦単位には、後方支援のために必要な人員装備が備わっており、単体で完結している。


戦術単位は、通常、一つの主力兵科で編成されており、上級の部隊に配属されてその一部となって補給を賄うか、必要な人員装備を補ってもらうか(増強連隊(イギリス)や混成旅団・戦闘団(アメリカ)など)しないと、能力を継続的に発揮できない。


戦略・作戦・戦術単位の区分は流動的であり、時代や国によって多様である。


現代アメリカ軍においては、戦略単位(Unit of Employment y, UEy)として軍が、作戦単位(Unit of Employment x, UEx)として軍団・師団が、戦術単位(Unit of Action, UA)として旅団戦闘団が設置されている。


戦略単位は、平時には存在しない場合があり、作戦の必要に応じて自在に部隊を編成する。


このレベルでは各国ごとの呼び方の違いも大きい。


第二次世界大戦当時には、旧日本陸軍には軍団がなく、軍の上に方面軍(area army)、総軍(general army)、ソ連に戦線(front。東部戦線などの用語との混同を防ぐため『方面軍』とも訳される)、アメリカに軍集団(army group)、またドイツに軍集団・総軍などがあった。


また、伝統的なこれらの単位以外にも、より柔軟な部隊編制として、集団や群および隊などがある。


戦時の編制単位


戦時において隷属系統や兵科の異なる部隊を組みあわせ、独立した作戦行動が出来るような一つの単位を編成することがある。


具体的な名称は国などによって異なるが、例としては兵団(複数の師団、旅団を合わせたもの)、戦闘団(連隊などを核に支援部隊を付加したもの)、増強○○あるいは戦闘群(戦闘団の小規模なもの。


○○は核となる部隊の単位)、支隊(大きさや構成を問わず、一時的に編成された独立部隊)などがある。


なお、「戦時編制」という語があるが、これは「平時編制」と対になる言葉で、有事の際に常設の師団等の規模を大型化した状態のことを言う。


師団隷下の小単位の構成人員を増やし、あるいは小単位を増設して戦時編制に移行する。


戦時の編制単位のことではない。



現代の軍事組織においては上記のような区分のみならず英語表記でGroupやForceおよびCommandなどと表される単位が存在する。


これらはそれぞれの軍事組織において任務や階位、指揮官の職位・階級あるいは所属する軍事組織の事情などで区別される。


これらは日本語での(逆にその他の言語の場合でも)翻訳例は様々である。


群(Group)


群とは、


1.複数の大隊から成る戦闘部隊または支援部隊。


2.特定の任務を命ぜられた部隊内の一組織、複数の航空機または艦船をもって構成。


とアメリカ国防総省用語で定義されている。コマンド(Command)


組織用語としてのコマンドとは、群と異なり普遍的な適訳がなく、このため当該組織の性格、機能、規模などに応じ総監部、軍、集団、群、部隊、隊と訳される。


このため多くの場合、コマンドは司令部と訳されない。