監督:リチャード・ドナー
出演:クリストファー・リーブ、マーロン・ブランド、ジーン・ハックマン、マーゴット・キッダー、スザンナ・ヨーク、マリア・シェル、ネッド・ビーティー、バレリー・ぺリン、グレン・フォード、ジャッキー・クーパー、テレンス・スタンプ他
音楽:ジョン・ウィリアムス
 
地球から遠く離れた宇宙の彼方・・・星としての寿命を迎えようとしていたクリプトン星。科学者ジョー・エル(ブランド)は、星が崩壊する前に星からの脱出を解くのだが、他の者は聞き入れようとしなかった。ほどなく星は崩壊を始め、ジョー・エルとその妻(ヨーク)は、崩壊の始まったクリプトン星から息子のカル・エル(後のスーパーマン)を脱出用カプセルで辛くも脱出させた。それと同時にクリプトン星は大爆発とともに吹き飛び、ジョー・エルたち共々消滅してしまうのだった。
 
長い宇宙の旅の末、地球に到達したカル・エルは、ケント夫妻(グレン・フォードとフィリス・サクスター)に育てられる。
クラーク・ケントとして育てられ、高校生となったカル・エルは、自分の持っている不思議な能力に日々悩んでいた。やがて父親の死、そして自分の出生の秘密を知ったことを機に、カル・エルは家を出ていく。
実の父ジョー・エルから持たされていた不思議なクリスタルの導きで北極に向かったカル・エル。そこでクリスタルに封印されていたジョー・エルのメッセージが現れ、出生の秘密と同時に不思議な力の秘密も知らされる。クリプトン星人が地球では超人的な力を持つこと、そしてそれを正義のために使うようにという父の願いを知り、正義の味方となって地球を救うことを誓うのだった。
 
十二年後、カル・エルはメトロポリスという都市で、新聞記者クラーク・ケントとして普通の人間の生活をしていた。しかしそこへ世界を支配しようと悪巧みをめぐらす世紀の大悪人レックス・ルーサー(ハックマン)が現れる。そこからクラークはレックス・ルーサーと対決するべく、スーパーマンとして活躍するのだった。
 
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クリストファー・リーブのスーパーマン・・・カッコいいのです。
 
 
パソコンの不調や出張が重なったため、数ヶ月振りのご無沙汰になりました。
 やっとのことで、中古ですが新しいパソコンに買い換えることが出来ましたので、再開させて頂きます。
 
すこし前に「マン・オブ・スティール」というスーパーマン映画が公開されました。
この映画のことを聞いて<そういえば昔スーパーマンの映画観に行ったなあ>と、ふとこの映画のことを思い出しました。
 
現在も脈々と続く、アメリカンコミックのヒーローを題材にした映画のハシリのような映画です。
しかも、映画の完成度といい、出演しているスターの方々の質といい、かなり本気で作られた映画であります。
 
 
 
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スーパーマンの実の両親、父マーロン・ブランドと、母スザンナ・ヨーク。
マールん・ブランドは、冒頭の数分間しか登場しないのですが、ポスターや
タイトルバックでは最初にクレジットされていました。出演料も数億円だったとか。
いやはや何とも・・・。
 
 
 
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こちらはもうひとりの大スター、ジーン・ハックマン。
この方も、クリストファー・リーブを差し置いてブランドの次にクレジットされていましたが、
ブランドと違い全編出ずっぱりだったので納得です。
 
 
 
 
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ゲストスター扱いの筆頭、グレン・フォード(後方右)が
目の前に落ちてきた火の玉(脱出用カプセル)の中から出てきた幼児(カル・エル)が
いきなりトラックを持ち上げるのを見て腰を抜かす、の図です。
このあとカル・エルは、この老夫妻の子としてクラーク・ケントとなります。
 
このシーンで、旦那であるグレン・フォードと、この子を自分たちの子として育てるかどうかの
やりとりをする時の妻のフィリス・サクスター(後方左)の表情が何ともいいのです。
 
 
 
 
今でこそ「バットマン」や「スパイダーマン」、さらには「X-MEN」「アイアンマン」など、アメコミヒーローが主人公の大ヒット映画は数々ありますが、この「スーパーマン」が公開された70年代の終わり頃までには、小規模な映画化作品は数作品あったものの、これほどの大作は無かったと思います。
 
最初スーパーマンが映画化されると聞いた時、私は正直<えっ!?>と思いました。
スーパーマンという存在は当然知っていましたが、いくら「スター・ウォーズ」でSFやスペース・オペラが大流行していた時代であっても、今さらスーパーマンは無いやろ、という感じでした。
 
でもこの映画はその後3本の続編や、今回の「マン・オブ・スティール」とは別に「スーパーマンリターンズ(2006/米)」という作品、果てはスピンオフ作品として「スーパーガール(1984/米)」なども作られたのをみると、この映画が商業的に成功したということもありますが、アメリカ社会にはスーパーマンに対する根強い人気があるということだと思います。まさに国民的ヒーローということになりますね。
 
 
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わざとサエない風貌の新聞記者として生活するカル・エル(リーブ)。
写真右の先輩ロイス・レーン(キッダー)のパワハラ(?)にもめげず、
日々新聞記者として奮闘するのです。
 
 
 
 
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しかし、カル・エルの本当の姿は、正義の味方スーパーマンなのでありました!
 
 
 
これほどの大作になると、製作期間はかなりの年数になると思いますので、まさかわずか1年半前に公開された「スターウォーズ」のヒットに触発されて急遽作られたとは思えません。しかも「スターウォーズ」は公開当初は業界では全く注目されておらず、並行して企画を進めていたとも思えません。
 
しかも脇を固める往年の大スター超豪華さは、「スターウォーズ」の比ではありません。主役級の俳優の知名度の低さや、SFという非常にマニアックなジャンルの映画を脇役の豪華さで補うという手法を、これほどまでにあからさまに取った映画は、おそらく私の記憶の中では、この映画が最初ではなかったかと思います。
ということは、この「スーパーマン」こそSF大作映画の新しい夜明け、エポックメイキングであったかも知れないのです(いつものように、勝手な誇大妄想ですので悪しからず・・・)。
 
 
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奇跡のワンシーンがこれ。
左から三人目の女優マリア・シェル、中央のトレバー・ハワード、その右のハリー・アンドリュース。
クリプトン星の長老を演じる、オールドファンには懐かしい、そうそうたるメンバーです。
もし映画がヒットしなかったら、なぜこんな格好で映画に出演したのかと責められたあげく、
輝かしい経歴にキズがつくところでした(特にマリア・シェル様・・・)。
 
 
 
この映画が公開されるまでは、こういうコミックヒーローの主人公は、どちらかというと映画よりもテレビで観ることの方が多かったですね。
スーパーマンもそうですが、「バットマン」もテレビの中のヒーローという感じでした。私世代でなじみが深いのは、懐かしい「超人ハルク」や「ワンダーウーマン」あたりでしょうか。
 
この1978年版の映画「スーパーマン」ですが、70年代も終盤に差し掛かっていたとはいえ、70年代映画としては技術的に今観てもまったく色褪せていません。
 
技術的なことは詳しくないのでよく判りませんが、特殊撮影は当時としては最高水準のものだったのでしょう。
スーパーマンの飛行シーンは、それまでのような簡単な合成ではなく、かなり凝った特殊撮影が施されているようで、今となっては当たり前なのですが、背景と人物の間の合成跡がチラチラとチラつくこともなく、まるで本当にスーパーマンが空中を飛んでいるように見えました。
 
 
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スーパーマンと、彼が愛するロイス・レーン(キッダー)が仲良く空を舞うシーン。
マントがひらひらしているのに、非常に自然な飛行シーンです。
従来の様にワイヤーで吊るして撮影しているのではないそうです。
 
 
 
 
 
特にすばらしいのは、私の“大好物”である、<タイトルバック>と<音楽>です。
 
神のごとく登場した「スターウォーズ」の音楽にも熱狂したものですが、この「スーパーマン」のタイトルバックと音楽のコンビネーションのカッコいいこと!
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いの巨匠ジョン・ウィリアムスの渾身の神ワザです!
アメリカ国歌にしてもいいくらいカッコいいのです!
 
とにかくこのタイトルバックを最初に観た時の感動は忘れられません。
胸の「S」マークが大音響とともに<プッシュウウウ~!>と登場して、そのあともウィリアムスのクールなメインテーマとともに俳優の名前が空を飛ぶ・・・スゴいの一言です。
 
 
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ジョン・ウイリアムスの名曲に乗って、スーパーマンの胸のマーク「S」がドド~ンと登場!
しびれます!
 
 
 
 
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そして「SUPERMAN」のタイトルも手前から後ろに滑るように登場。
このあと、メインテーマに乗って、出演者の名前も次々に登場。
「ブラックホール」のメインタイトルと同じくらい、音楽とタイトルバックが
素晴らしくマッチしていると思います。
 
 
 
と、いつものごとくエコひいきもいいところなのですが、お時間がありましたら、youtubeでタイトルバックを一度ご覧下さい。
↓ ↓ ↓
 
 
それまでのSF大作映画といったら「2001年宇宙の旅」「アンドロメダ・・・」という横綱級を始めとして、「宇宙戦争(ジョージ・パル版)」「禁断の惑星」「ミクロの決死圏」「猿の惑星」「ソイレント・グリーン」などなどの名作にしても、一部のSFファンのためだけのSF映画という雰囲気がありました。
 
本来、SF映画というものはそれが当たり前のことであり、どれだけSFファンを取り込めるかというのに知恵を絞っているものです。だからこそ我々観客を異次元の世界に導いてくれるSFというジャンルが面白いのですが、でもこの映画は、SFという題材ではありますが、初めて有名なアメコミヒーローを主役に押し出した映画であり、「スター・ウォーズ」とともに、SFファンという枠にとらわれず、SFというジャンルを一部のSFファンのみのものではなく、誰でも楽しめる一級の娯楽映画のジャンルとして確立させた立役者だと思います。
 
 
 
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ヘリコプターが墜落寸前だ!スーパーマンに変身しなければ・・・って、アレ!というシーン。
原作のコミックでは旧式の電話ボックスの中で変身するのですが、この時代の電話ボックスは
箱ではありませんでした・・・というおトボケシーン。
 
 
 
 
 
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おもむろに走りながらワイシャツを脱ぐと、中からは「S」マークが!
このあとビルの回転ドアを超高速で回転させて、その中で変身します。
 
 
 
 
 
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そしてビュ~ンと飛び立つスーパーマン!確かこれがスーパーマン初登場のシーンです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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悪者レックス・ルーサーのせいで地割れが発生。そこに列車が差し掛かる。
このままでは列車が転覆してしまうぞ!さあ、どうするスーパーマン!
 
 
 
 
 
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すると、何と自らの体を線路のレールにして、列車の転覆を防いだのです。
スゴいぞ、スーパーマンッ!
 
 
 
 
 
 
 
 
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ふたたびレックス・ルーサーのせいで、ダムが決壊した。
このままでは下流の街が水没して犠牲者が出るぞ!ふたたび、さあ、どうするスーパーマン!
 
 
 
 
 
 
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今度は、ダムの下流の山肌を崩し出したスーパーマン。
 
 
 
 
 
 
 
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すると、崩れた山のがれきが決壊したダムの水をせき止め、街は水没から救われました。
ふたたび、スゴいぞ、スーパーマンッッ!!
 
 
 
 
 
 
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<ふむッ!>人々を魔の手から救ったスーパーマンは、ドヤ顔で満足するのでした。
 
 
 
 
そんなSF映画に、現役バリバリの大スターや、往年の大スターが集結したのです。面白くない訳がありません。
マーロン・ブランドをはじめとして、ジーン・ハックマンやネッド・ビーティ、バレリー・ペリン、テレンス・スタンプなどのお歴々が、空想世界のヒーローであるスーパーマンと真面目に競演しているというのは、ハリウッド映画ならではのお楽しみですね。
 
さらには、グレン・フォードやマリア・シェルなど、一世代、二世代前の主役級、またトレバー・ハワードなどの重量級の俳優さんも加わって、絢爛豪華な映画になっているのです。
 
 
 
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レックス・ルーサーの子分を演じるネッド・ビーティー(左)とバレリー・ペリン(右)。
この人たちが出ていると”安心”する70年代には欠かせない顔でした。
まるで”JISマーク”のような存在でしたね。
 
 
 
このあと、この映画とほぼ同時に撮影されていた続編「スーパーマンⅡ/冒険編」と続くわけですが、そちらもかなり面白い超娯楽大作でした。
 
ただ、そのあとの続編「Ⅲ」と「Ⅳ」が、質的にも興行的にも急速に失速していったのは、非常に残念でなりません。この二作の失敗が無ければ、クリストファー・リーブのスーパーマンがもう少し続いていたかもしれないですね。