監督:H・B・ハリッキー
出演:H・B・ハリッキー、エレノア(フォードマスタング)
音楽:ロナルド・ハリッキー他
 
元カーレーサーで今は保険会社の調査員をしているメインドリアン(ハリッキー)は、裏では車を盗んで売りさばく窃盗団を仕切っているボスだった。
ある日メイドリアンのもとに報酬40万ドルという大きな仕事が舞い込んできた。高級車ばかりが指定だったが、メイドリアンたちプロの窃盗団は次々に指定されたクルマを盗んでいく。
その中の一台、フォードマスタングを盗み出そうとしたメイドリアンだったが、仲間割れした男の密告で盗みの現場を押さえられてしまう。
そこからマスタングVS警察の壮絶なカーチェイスが始まる・・・。
 
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公開当時には買えず、ずいぶん後になって神戸のパンフレット屋さんで
買い求めたものです。
 
~目もくらむ超高級車をわずか60秒でかっぱらうグーな男たちの詩~
 
パンフレットにそんな宣伝文句が踊るこの映画は、公開当時クルマ好きの少年たちを熱狂させました。
それはなぜか?
 
上映時間約100分のうち、後半の40分近くがカーチェイスという、画期的な映画だったからです。
 
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映画後半の40分間、ずっとこの調子でカーチェイスが続きます。
 
 
上に書いたストーリーは、はっきり言ってオマケの様なものです。そして主演のH・B・ハリッキー含め、出演者は素人同然の方たちばかりです。
この映画は、本物のスタントマンであるH・B・ハリッキーが製作、脚本、監督を担当し、主演までしたインディペンデント映画であり、製作費などの関係で、出演者はハリッキーの友人や新人俳優たちを使っているとのことなのです。
 
 
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製作・脚本・監督・主演のH・B・ハリッキー。
この映画で随分儲けたようですが、この映画の続編の撮影中に事故死されました。
 
 
 
主役はあくまで“クルマ”です。
 
ハリッキー自身も、この映画の主役は完全にクルマたちと考えていた様で、それが証拠に映画本編のタイトルバックの出演者紹介は、フォード・マスタング(本来ならムスタングといいたいところですが・・・)が映画の中で使われる愛称“エレノア”で紹介される、ただ一枚だけなのです。
(この窃盗団は、盗むターゲットのクルマを、仲間内では車名ではなく女性の名前の愛称を付けて呼んでいるのです)。
 
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映画冒頭のタイトルバック。映画のタイトルの後に出てくる出演者は、
この<エレノア>ただ一枚なのです。
非常に粋なタイトルバックです。
 
 
 
映画の後半、そのマスタング“エレノア”が、まるで生きている様に走り、飛び、警察の執拗な追跡から逃れるカーチェイスは、結構な迫力なのです。
 
 
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これが”エレノア”マスタングです。なんともなまめかしいスタイル。
当時のアメ車のスタイルは、すばらしいの一言です。
 
 
 
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エレノアを追って、警察の執拗な追跡が始まります。
 
 
 
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激しいカーチェイスの末、エレノアはこんなお姿に・・・。
 
 
 
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エレノア渾身の大ジャンプ!はたして警察の手から逃れられるか?
 
 
この実際のカーチェイスに使われているクルマたちは、主役のエレノア以外は実際ショボい印象ですが、それはそれで観ていて全然気になりません。そのくらい40分間続くカーチェイスというのが非常にインパクトの強い映画です。
 
カーチェイスには使われていませんが、主役のエレノア以外にも、非常に魅力的なクルマが登場します。
「バニシングポイント」では主役を張った名者“ダッジ・チャレンジャー”をはじめ、デ・トマソ・パンテラ、マンタ・ミラージュ、ランボルギーニ・ミウラ、キャディラック・エルドラド等々、スーパーカーブームでクルマに興味を持ち始めた少年の私が心躍らせるクルマがキラ星のごとく次から次へと出てきて、しかも動いている映像が観られる・・・それはもう涙ものでした。
 
 
 
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マスタングと双璧を成すカッコ良さ!
「バニシングポイント」では堂々主役を張ったダッジ・チャレンジャー。
 
 
 
 
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中学生の時にプラモデルも作ったことのあるデ・トマソ・パンテラ。
 
 
 
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非常に貴重なクルマ、マンタ・ミラージュ。
 
 
 
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アメリカの象徴、無駄にデカかった時代のキャディラックやリンカーンも登場します。
 
 
 
当然アメリカ映画のカーチェイスに付き物の<壊されるパトカー>もふんだんに登場します。
 
 
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壊されるパトカーさんたち。まるで仮面ライダーに出てくるショッカーの
戦闘員くらいの感じで次々にやられていきます。
 
 
 
クルマに興味のない方は全然興味の沸かない映画ですので、万人向きの娯楽映画であるとは言えません。
ですが、これこそ超個人的に言えば<我が青春の名作>と言える映画なのです。