事あるごとに映画のタイトルバックが良いの悪いのだの、どうのこうのとエラそうに言っている私ですが、しつこいとお気を悪くされている方もいらっしゃるかも知れません。
ですが、タイトルバックが映画の面白さの重要な要素であることには異論は無いと思います。
 
まだビデオデッキが世に登場するずっと前から、テレビで映画を観る時には、せめてテーマ曲だけでも記憶に残そうと思ってラジカセをテレビのスピーカーに押し当ててよく録音していました。
そしてそれを後で聞きながら、映画の内容と同時に、すばらしいタイトルバックを頭の中で何度も蘇らせていたものです。
 
昨今はビデオ・DVDはもとより、YouTubeなるすばらしいものがあるおかげで、DVDを持っていなくても、いつでも好きな映画のタイトルバックを観られる、いい時代になりました。
時々昔を懐かしみながら、YouTubeに見入っております。
 
そこで、YouTubeで観ることの出来るお気に入りタイトルバックの中で、私が個人的に気に入っているものをいくつか並べてみることにしました。今回は、雰囲気としてモダンアート(近代芸術)風なものをピックアップしてみました。
あくまでタイトルバックが気に入っているということであって、映画自体の好き嫌いで選んでいる訳ではありませんが、タイトルバックが好きな映画は、そのほとんどが映画自体も好きである場合が多いのが不思議です。
 
007シリーズのモーリス・ビンダーをはじめ、“神様”ソウル・バスや、「セブン」のカイル・クーパーなどが創作した、すばらしいタイトルバックはあまりにも有名ですので、今回はそういう有名どころとは違う、ほとんど知られていない映画から選んでみました(別にひねくれている訳ではありません)。
 
観たことの無い方は、おそらく題名さえ知らない映画ばかりだと思いますが、もしお時間があるようでしたら、YouTubeの動画を一度ご覧になって下さい。
動画が削除される可能性もあるので、一応静止画も載せさせて頂きます。
もし動画が削除されていたら、静止画で雰囲気だけでもお楽しみ下さい。
 
 
4Dマン(1959/米)」
 
いきなりカルト映画ですが・・・ユニバーサル映画制作の、いわゆるB級SF映画です。
 
なぜ最初に持ってきたかというと、小学生高学年か中学生の時に<土曜映画劇場>で観て、映画のタイトルバックのすばらしさに目覚めさせてもらった、私にとっては記念すべき作品だからです。
 
ある科学者が、実験の過程で偶然に壁を通り抜ける能力を持ってしまうというストーリーですが、映画の内容はともかく、映画の内容に全くそぐわない、しゃれたタイトルバックに目を奪われました。
 
粋なジャズナンバーが流れる中、ただただ黒いバックにキャスト・スタッフの名前が出るだけなのですが、名前が出る瞬間のちょっと前に、名前が表示される場所に向かって<矢印>が一瞬だけ出るのです。
これがどういう意味なのか、当時流行っていたのか、別の映画にも同じような表現があったのか無かったのか判りませんが、とにかく一瞬のことながら<・・・エッ!>と目を疑いました。
 
 
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50~60年代のSF映画の雰囲気たっぷりでタイトルが登場。
でも私がお気に入りなのはこのあとです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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ふいに矢印が瞬間的に登場。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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そして矢印が消えると、矢印の先に出演者の名前が登場。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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複数の矢印が出ると・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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名前も複数登場します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
当時は当然ビデオデッキなるものがありませんでしたので、観たのはこの時一回こっきりでしたが、この時感動した思い出はハッキリと今でも憶えています。
それを何十年も憶えている方もおかしいのですが、このブログを始めてから、過去に観た映画をいろいろと思い出す度に、どうしてもあのタイトルバックをもう一度観てみたい、という気持ちがずっとありました。そしたら・・・探してみるものです。それがあったのです。YouTubeに。
 
お時間ありましたら、こちらでご覧下さい。
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「ダラスの熱い日(1973/米)」
 
中学生の時に、地元の二番館で観ました。
ジョン・F・ケネディ暗殺は、アメリカ政府の陰謀だった!・・・という仮説に基づいたドラマです。
これぞ社会派ドラマという雰囲気ムンムンの、非常にクールでシンプルで、かつ大胆で洗練された構成のタイトルバックです。
 
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全編モノクロ静止画像とイエローの文字で構成されているタイトルバックです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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この静止画像が、きれいな名所などではなく、無機質な場所であるところがいいですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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まるで、お堅い経済誌の表紙のような感じです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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強い国・アメリカのイメージ。
モダンアートの展覧会に出してもいいくらいです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ランディ・エデルマンの音楽とのマッチングも素晴らしく、全編モノクロの静止画で構成されたタイトルバックは、まるでホントに有名作家のモダンアート作品を観るような感じです。
今ではあまり聴かれなくなった感のある、映画のために作曲されたオリジナルのメインテーマ曲もすばらしいと思います。
音楽だけ聴いてみると、ただのちょっと変わった曲という印象しかありませんが、これが映画のメインテーマだと途端に名曲に変わるのが不思議なところです。
 
ちなみに、この「ダラスの熱い日」のメインテーマをあらためて聴いて、どこかで聴いたことのある旋律だと思ったら、このテーマを作曲したランディ・エデルマンさんは「ドラゴン/ブルース・リー物語」の作曲家でした。聴き返してみると、「ドラゴン~」と同じような旋律ですね。
 
お時間ありましたら、こちらでご覧下さい。
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「晴れた日に永遠が見える(1970/米)」
 
かなり昔、テレビの深夜映画劇場で観た映画です。
ビンセント・ミネリ監督のラブロマンス・ミュージカルで、主演がバーブラ・ストライサンドとイブ・モンダンという超豪華な映画です。
 
これぞタイトルバック!という感じの、(私にとっての)永遠の名作タイトルバックです。
一時期デザインをかじったことのある私ですが、その時に何度も見聞きした抽象絵画の巨匠・モンドリアンの描く絵画のイメージが感じられます。
本当に、何度観ても飽きないくらい大好きです。
 
非常に品のいいテーマ曲が流れる中、その歌詞とシンクロして登場するタイトル名。そしてそれに続いてキャスト・スタッフの名前が登場し、そのバックでカラフルな長方形が色を変えながらズンズンと奥に流れて行く。
曲とデザインのマッチングがすばらしく、「ダラスの熱い日」と同じく、タイトルバックだけでひとつの芸術作品の様で、シンプルとも思えるし複雑とも思える・・・何とも不思議なタイトルバックです。
 
 
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タイトル名「ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER」の「EVER」の部分が
手前から奥へと流れてきます。
 
 
 
 
 
 
 
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非常にカラフルでリズミカルなタイトルバックです。
 
 
 
 
 
 
 
 
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色が様々に変わっていきます。
若き日のジャック・ニコルスンの名前も見えます。
 
 
 
 
 
 
 
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こんな色にも変わります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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こんな色にも変わります。
このタイトルバックをジッと見つめていると、催眠術にかかりそうになります。
 
 
 
 
 
 
 
最初にストライサンドの歌がありますので、タイトルバックが始まるのは開始から3分過ぎからです。
お時間ありましたら、こちらでご覧下さい。
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人それぞれ好みがありますので、絶対に名作とまでは言いません。
でも、しつこいようですが、興味のある方は一度YouTubeでご覧になってみて下さい。
 
それにしても、タイトルバックって本当にいいものですね(水野晴郎さん風に)。