≪子孫の言葉≫

「彼を知り己れを知れば、百戦して殆うからず」

 

「銀行マンが融資しやすい環境を整えることが、銀行融資においていかに大切か!」を前回お話しました。

 

 

冷静に考えてみましょう。すべての会社が同じように「銀行目線」に従うことが可能ならば、融資で悩む経営者は存在しません!!

 

では、銀行融資に成功するためには実際何を、どのようにすればいいのでしょうか?

 

「銀行の考え方」を知るだけでは足りません!!

 

「自社の状況」を克明に知ることが必要になってきます。

「銀行の考え方」=「銀行目線」のことで、「融資稟議書で銀行がチェックしてくる8項目」です。

 

では「自社の状況」とは具体的に何でしょう?

大きく分けると…

①自社の経営状況

②社長の性格

この2つになります。

何だ~そんなことか!!!と見くびることなかれ。

 

融資に苦しむ経営者の皆さんはわかっているようで、わかっていません。

だから融資を受けられずに苦しんでいるのです。

 

どんな会社にも課題や問題があります。100社あれば100社とも課題が異なるのは当然!

「銀行の目線」だけでどうにかなる会社のほうが稀でしょう。

 

「孫子の兵法」に「彼を知り己れを知れば、百戦して殆うからず」とあります。つまり敵の状況と自分の状況を合わせて知ってこそ、どんな戦いにも勝利することができるのです。

敵の状況を知るだけでは限界があります。※ここでは敵(=銀行)

敵の状況に加え、自分の(自社)の状況を的確に把握してこそ勝利(融資の成功)があります!

 

 

【銀行の考え方に振り回された事例】

 

Cさんはトラック運送会社の社長です。業界では限られた荷主を、同業他社で奪い合う熾烈な競争があり、規模の利益を得るためのM&Aが頻繁になされている状況です。

さらに排ガス制限など、トラックの使用も規制で細かく決められています。

そのため、トラックの買換えが定期的に必要で、Cさんは多額の資金需要を銀行融資で対応してきました。

 

ある日、銀行から提案がありました。「借入金額が過大で年間売上高に近い水準まで増えています。借入額を減らすためにトラックを削減しましょう。」というのです。

銀行は「銀行の目線」に立って「返済計画」及び「資金繰り」に懸念を抱きました。

一方でCさんは同業他社との競争の中で、銀行の考えとは真逆の方針でトラックの台数を増やし、事業拡大を図ろうと考えていました。

Cさんは悩んだ末に、今回は銀行の言うとおり、「トラックをいったん減らすことにしました。数年かけて順次減少させ借入総額も減少。返済額も減って資金繰りも楽になるはずでしたが、実際は真逆でした。トラック減少に伴い売上高は大きく減少。結局、利益も大幅に減少しました。

 

Cさんは「銀行の考え方」がいつも正しいわけではないと知りました。そして「自社の状況」は、銀行より誰よりも自分が一番よくわかっていることに改めて気づいたのです。

 

「銀行の目線」は融資審査をする上では正論です。

しかし、一方で業界動向や会社特有の事情、個人の状況などの個別事情は当然ながら、経営者が一番熟知しています。

 

「銀行の目線」だけで考えても「自社の状況」には最適とは限りません。結局「銀行の目線」を知り、「自社の状況」を客観的に把握した上で、融資相談をすることこそが最適な融資を成功させる秘訣なのです。

 

 

 

≪ポイント≫

”「銀行の考え方」を知り、「自社の状況」を知ることで、銀行融資の成功はより確実のものとなる。”

 

 

 

 

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