カロリンスカへの道(1) 
   

電解還元水が活性酸素を消去した

国立台湾大学の成果と九州大学大学院・白畑教授

これから書くことは、今から10年乃至15年前のことです。当時の電解還元水の研究の話です。

1995年1月17日、阪神大震災の日。医学会にとっても震災級の出来事の始まりの日であったのかも知れません。
この日、台湾大学において電解還元水に関する講演会を行いました。
当時、電解還元水が病の元である活性酸素を消去するということは、実証されておらず、あくまで仮説でした。

講師の医学博士の「日本では、どこの大学、研究機関も検証しないので仮説」であるという言葉に、同大学生化学研究所長・呂鋒洲教授が「It’easy.I can do it.(簡単ですよ。私が証明して上げますよ)」と言われました。
当日の夕刻午後6時、歓迎夕食会の始まる直前、呂鋒洲教授から1枚の紙が届けられました。そこには電解還元水が活性酸素を消去したというデータが記されていたのです。
呂教授は言われました。「素晴らしい仮説です」。
呂教授自らが測定されたというそのデータには、急性膵臓炎の患者から採取された血液の中に含まれていた活性酸素種の一種・スーパーオキサイドの値が「電解還元水」によって90%以上減少している事実が証明されていたのです。

後日談があります。講演を行った医学博士は呂鋒洲教授の「It’easy.I can do という言葉に耳を疑ったそうですが、呂鋒洲教授も「水が活性酸素を消すなんて、本当だろうか」と半信半疑の印象を持ちつつ実験を始めたそうです。

九州大学大学院農学研究院遺伝子資源工学部門の白畑實隆教授は、21世紀は食べ物によって病を予防する時代になるという考えをもち、研究されておられました。そのなかで見落とされていたのが「水」。
水は単にモノを溶かすだけのものと思われていたのだそうですが、白畑教授は台湾大学で「「水」が「活性酸素を消去」」したというデータが出たという情報を受けて、もし、それが事実とすれば「水素による還元力の働き」とピンときたそうです。
1996年、白畑教授は「電解還元水」について共同研究を始められました。そして1997年5月、アメリカの国際学術誌「BBRC」に「電解還元水が活性酸素を消去し,DNAの酸化障害を防止する」という論文を発表されましたが、その時に編集者として論文を受理されたのが、カロリンスカ研究所環境医学研究所のステン・オレニウス名誉教授だそうです。
白畑教授の「カロリンスカへの道」は今から13年も前に、その縁があったのです。

ところで、白畑教授を「カロリンスカへの道」へ導いた力は、それ以前に、多くの研究者が「この水」の働きに注目し、仮説をたてて研究しきた歴史の上に成り立っているということを、私たちは忘れてはなりません。
その仮説を導き出したのは実際の医療現場における症例です。このブログで「水治療に挑んだ男たち」としてご紹介した医師たち以外にも、例えば「12人の医者がすすめる水」という本に紹介されている医師の方々をはじめとして、多くの医師がおられます。
1990年代の初めに、「病気の原因は活性酸素」と医学がいい出しました。それまでこの水で病に対して起きた現象は「アルカリ性の水」では説明がつかなかったのですが、「病気の原因は活性酸素」ということが言われて、初めて因果について説明がつくようになりました。
すなわち「電解還元水は、万病の元である活性酸素を消去する」という仮説が成り立ったのです。

もう一度確認いたしますと・・・。
この世の中は「因果律の世界」と言われています。物事や我々の人生体験は、「偶然」とか「たまたま」ということはあり得ないことで、現象・結果には必ず原因があるのです。科学とは因果を究明する学問だそうです。
「電解還元水が万病の元である活性酸素を消去する」という仮説を支えたものは仮説を裏ずける「この水」を飲用したユーザーや医療現場で起きた厳然たる現象があったからです。「事実は理論に先行する」という現象(結果)があったからです。

事実は理論に先行する
神戸市の協和病院では昭和60年に病院に整水器を設置、病院の職員や患者さんに起った現象から、河村院長の電解水の取り組みが始まりました。当時、現象の起こる原因が分かりませんでした。そこで研究機関を訪ねられたそうですが、どこも取り合ってくれない。
こうなったら自分で調べるしかないと思っていたところ、「病と老化の元は活性酸素」と医学会がいいだしました。河村院長は「病の元が活性酸素であるとしたならば、この水には水素が含まれていて、活性酸素を還元しているのだろう」と考えました。河村院長の考えに同調された医学博士や理学博士と共同で研究に取り組み「アルカリイオン水」と呼ばれている水は、実は「アルカリ性」の働きが健康に寄与しているのではなく、陰極側の陰極水(アルカリイオン水)に水素が発生し、水素のよる還元力によって活性酸素を消去している水である、という仮説がたてられました。

医学の世界で、この水に注目し医療に取り入れた医師は河村院長だけではありません。「水治療に挑んだ男たち」で御紹介いした鳩山ニュータウン診療所長の篠原秀隆医師をはじめ、この水を取り入れた医師は少なくありません。アトピー治療でこの水を取り入れた「明石病院」もありました。
医療現場で成果=現象=が挙っていましたが、本格的な研究に着手する研究機関は現われませんでした。むしろ否定・批判が広がっていきました。
驚くべきことに、当時「水の中に水素が溶存在するなどということは科学の非常識」と言われていたのです。つまり電気分解した陰極水(アルカリイオン水)に還元力はありえないというのが科学の常識であったのです。

最も今から考えると、科学全体が「水の中に水素が溶存在するなどということは科学の非常識」と認識していたかどうかは疑わしいと思います。
電気分解の原理は英国の生んだ科学の天才マイケル・ファラデー(1791-1867)によって確立されました。その英国で発行されているオックスフォード化学小辞典(Oxford Concise Dictionary of Chemistry)には「電気分解とは酸化還元反応である。陰極で起きる反応は還元反応であり、陽極で起きる反応は酸化反応である」と極めて明快かつ簡潔に説明されています。
電解還元水は、水の「電気分解」によってつくられる水です。私たちは中学2年の理科で次のように学んでいるそうです。
-水を電子分解すると、陰極側からは水素ガスが発生し、陽極側からは酸素ガスが発生するという実験です。

ところで、電気分解の原理は、先ほどもご紹介したとおり「酸化還元反応」のことを意味します。したがって「水の電気分解」とは「水の酸化還元反応」を意味することになります。
オックスフォード科学化学小辞典(Oxford Concise Dictionary of Chemistry)によって「水の酸化還元反応」の原理を図にしたものがありましたのでご紹介いたします。

(説明文)
イラストの右中ほど(陰極側)を見ると(H+)+(e-)→ H → H2と記されています。つまりH+(プロトン)がe-(電子)と結合してH(原子状水素)となり、さらにH2(分子状の水素)が作られることがわかります。
すなわち、「電解還元水」の中には原子状の水素(H)つまり活性水素が存在していることがわかります。電気分解の結果「活性水素」が発生し、その量が飽和状態になった結果分子状の水素(H2)が生成されることがわかります。

当時、溶存水素を計測する計測器が世界に存在しなかったのです。平成6年、東亜電波工業という会社が世界で初めて「溶存水素計測器」を開発したというニュースが入りました。電解還元水を研究する医学博士から当社の還元水の整水器を販売していました)に依頼があって計測器を借りるこになりました。
東亜電波工業の担当者から「何の溶存水素を計るのですか」と」聞かれた三菱樹脂・平塚研究所の所員は「水です」と答えると「水の中に水素が溶存在するなどということは科学の非常識、その医学博士はインチキ博士ではないのですか」と大笑いされたそうです。
ところが、計測した結果、水に水素が溶存していることがわかって、青くなったのが東亜電波工業の担当者・・と笑うに笑えないエピソードがあります。
でも、このことはオックスフォード化学小辞典(Oxford Concise Dictionary of Chemistry)で明らかなことであり、「水の中に水素が溶存在するなどということは科学の非常識」というのは勉強不足の科学者のたわごとだったということでしょう。

このように、白畑教授の登場前に、多くの研究者がこの水に取組み、仮説を確立してまいりました。そして、この仮説は台湾大学での実証から、白畑教授の研究へと引き継がれカロリンスカへの道へと進んで来ました。今、振り返っても仮説の90%以上が研究によって証明されています。
電解還元水の研究が、新たなステージへステップ・アップしました。その先に見えた来るものは、世界が変わる! 医学が変わる! 今後の成果が益々期待されます。