続「誤解だらけの浄水器選び’98」 

群盲象を撫でる
 

前回「誤解だらけの浄水器選び’98」をご紹介いたしましたが、浄水器の販売方法の例から、世間から「水の業界」は怪しい業界であると見られていることを改めて思い知りました。もっともどの業界にも怪しい業者は存在するわけですから、例えばNATROM先生の医学界にも怪しいことがあるわけですから一部の業者の行為を見て、業界全体をそのような色眼鏡で見るのはどうなのかなあ・・と私は思います。
ご紹介いたしました「誤解だらけの浄水器選び’98」の「悪質な詐欺商法が横行している」の記述の中にも著者が誤解しているのではないかなあ・・という部分があるように思います。  

酸化還元作用

悪徳商法のひとつに「水道水でお茶を出すと、残留塩素によってお茶の葉のビタミンCが破壊される」として実験をしてみせるという商法がある(あった?)という。
実験は販売員が「残留塩素のテストをします」といってコップに取った水道水に試薬を一滴落とすと、黄色くなり、その水にお茶の葉を入れると透明に変わった。そこで販売員が「これはお茶のビタミンCが塩素と結合したためで、水道水でお茶を出すと、ビタミンCは破壊される」「水道水には危険物質が含まれていて、取り除くには浄水器が必要」と説明したという。
水道水には殺菌のため塩素が含まれていて、水道法では、蛇口から出る段階で塩素が最低0.1ppm含まれていることが義務つけられている。だから試薬で黄色に着色するのは当たり前のことだ。お茶の葉で黄色が消えるのは、ビタミンCによる還元作用であって、ビタミンCが破壊されたわけではない。したがって、販売員のこのような説明は明らかに誇大な言い方である。

著者はこのように書いている。
・・・お茶の葉で黄色が消えるのは、ビタミンCによる還元作用であって、ビタミンCが破壊されたわけではない。したがって、販売員のこのような説明は明らかに誇大な言い方である。」
ではビタミンCによる還元作用とは一体どういうことを言うのでしょうか?。

水道水中の塩素は病原菌や細菌の発生を抑える働きをしています。病原菌や細菌の発生を抑える働きは強い酸化力です。人間の免疫力が活性酸素によって体内に入った病原菌を殺してくれることと同じような働きをして、私たちに安全な水を届けてくれるのです。ただし、塩素は有機物と化合してトリハロメタンなどの有害物質も発生させます。そこで家庭で水道水を使用するときは浄水器で塩素を除去して使おうという考えがあって、浄水器を使用するご家庭が増えていることは皆様ご存知の通りです。

塩素は「酸化還元作用」という考えでいえば酸化作用ですから、厳密にいえば人体を酸化させる作用もあるのです。ですから水道水にむやみやたらと塩素を投入して良いというわけだはなく「水道法では、蛇口から出る段階で塩素が最低0.1ppm含まれていることが義務つけられている」のは、残留塩素が多いと健康上問題がある(0.1ppmが適切なのか10ppmでもよいのか・・基準値の根拠は?)ということも考えられているのではないでしょうか。なぜなら塩素の働きは活性酸素によるもので、この活性酸素が病原菌を殺しているのです。つまり私たちは活性酸素入りの水を飲んでいるのです。
ビタミンCには抗酸化力(還元働作用)の働きがあって塩素(次亜塩素酸)を還元してしまいます。つまり酸化力、殺菌力を奪ってしまうのです。その代りビタミンCが酸化物質になってしまうのです。

酸化還元反応とは、原子間で電子を奪ったり与えたりする反応のことで、ある原子から電子を奪われたとき、奪われた側の原子は「酸化された」といい、逆に、ある原子が他から電子を獲得した場合、獲得した側の原子は「還元された」といいます。水道水とビタミンCの場合、水道水に含まれる塩素がビタミンCから電子を奪って還元され、電子を奪われたビタミンCは酸化されてしまったのです。本来体の中に入って体の中の活性酸素を還元するという働きがあるのに、体の中で働く前に塩素にその機能を奪われてしまったのです。始末に悪いのは酸化物質となって体の中に入っていくわけですから、本来の「還元作用」ではなく「酸化作用」としての力を発揮しかねないということになります。
販売員の「明らかに誇大な言い方である」という著者の記述は「酸化還元作用」を正しく理解していないための記述だと思います。

ただし、以上は「論」です。では実際のお茶の葉のビタミンCの還元力は?

コップに水道水を摂り
▼ 塩素試薬を入れると赤く反応する ▼
塩素試薬を入れると赤く反応する

お茶の葉を入れると
▼ 還元されて透明になる ▼
コップに水道水を採る

 再びコップに水道水を採って
▼ 塩素試薬を入れると赤く反応する ▼
塩素試薬を入れると赤く反応する

さきほど還元力が失われと思われる
▼ お茶の葉を入れると透明になる ▼

お茶の葉のビタミンCが酸化されて還元力がいつかはなくなるかも知れないけれど、少なくともこの実験の範囲では、一度や二度では還元力が失われることはないようです。
また、通常はお茶はお湯で入れるでしょうから塩素は飛んでしまっているので、お茶のビタミンが失われていることはない・・ということでしょうね。
その後、放置して置きました。写真では見にくいのですが小さな気泡が沢山できました。通常の水道水では気泡は出来ませんのでお茶の還元力と関係があるのかもしれません。
12時間後、新たに水道水をコップに採ってこのお茶を入れ試薬を入れると、薄らと赤く残留塩素反応が出ました。ここに掲載した写真は翌朝出社したときのものです。
ついに、お茶の還元力、ビタミンCが破壊されて赤く酸化反応しています。ビタミンCが酸化剤になって酸化を促進した結果です。
販売員の名誉を守った貴重な写真です。(=それこそオーバートークでしょうが・・)

  

▼ 小さな気泡が発生している。 ▼
小さな気泡が発生している。

▼ ついにお茶の還元力が失われた! ▼
ついにお茶の還元力が失われた!

セールスマンのトークはまったく出鱈目ではないということです。ただ、今回の簡単な実験ですべてがわかるわけではないので、これですべての結論を出すことはできないと思います。
酸化・還元作用とはどういうことかという理解の入口ぐらいにはなったと思いますが如何だったでしょうか?

できた水のカルシウムイオン量は元の水のせいぜい2倍程度まで。牛乳の20分の1~40分の1。

電気分解すると水はマイナス極側とプラス極側に分かれる。仮に7:3に分かれるとすると、1リットルの水道水を電気分解した場合、還元水が0,7リットル、酸性水が0.3リットル生成される。水道水中にカルシウムが1リットル当たり15mg含まれていたとすると、カルシウムはマイナス極側に引き寄せられるので、例えば100%カルシウムが引き寄せられたとすると、電気分解後は、0.7リットルの還元水に15mgのカルシウムが含まれることになる。1リットルに換算すると、1リットルあたり21,5mgのカルシウムが含まれることとなる。
つまり、原水よりカルシウムの量が増えていることになる。しかし、成人が一日当たり必要とされるカルシウムの量は600mgから1000mgであるから、還元水(アルカリイオン水)だけでカルシウムをまかなおうとすれば、30リットルから50リットルの還元水(アルカリイオン水)を飲まなければ必要量に達しない。実際には不可能なので、還元水(アルカリイオン水)にカルシウム補充効果はない。骨粗鬆症に効果があるなどとんでもない、ということになる。
じつは、これは数字のマジックである。数値をとらえてそれだけで論じた場合、効果はないという結論になる。
還元水(アルカリイオン水)の効果はカルシウムの吸収効果が促進されカルシウム不足が改善されるというところにあることが京都大学医学部の研究で明らかにされている。

・カルシウムの吸収効果(京都大学大学院医学研究科の研究)
ラットをカルシウム不足食で飼育した場合、アルカリイオン水の飲用によって骨中カルシウム濃度の上昇や骨形成の正常化が認められ、骨粗鬆症予防との関連が示唆されました。また、老化促進マウスを用いた動物実験でも同様の結果が得られ、骨組織の腑弱化を低減する働きが確認されました。

カルシウム欠乏食での飼育におけるラットの外観写真

 

[糸川:日本口腔機能水学会会誌, p22-23 (2000)]
[高橋ら:第6回機能水シンポジウム‘99東京大会プログラム・講演要旨集, p8-9 (1999)]
[高橋ら:第7回機能水シンポジウム2000東京大会プログラム・講演要旨集, p80-82 (2000)] 

かつて日本人は一日当たり250mgくらいのカルシウム摂取量だったそうですが、それでも骨粗鬆症などなかったそうです。近代になるほどカルシウムを採っても採ってもカルシウム不足になっています。これは食品添加物などさまざまな影響で、カルシウムが吸収されにくくなっているとか、せっかく吸収されたカルシウムがどんどん流出してしまい、慢性的なカルシウム不足になっているそうです。
還元水(アルカリイオン水)は、微量なカルシウムでもしっかり吸収するとか流出させない働き・・添加物等の害を防ぐ働きをしている可能性があるということでしょう。
私自身の体験は若くして老化していた骨が丈夫<骨太くん)になったことです。

お客様の体験
・・妊娠中、母体は胎児に栄養をとられ、カルシウムが不足し、骨がスカスカになってしまうという話を聞いていました。
でも、私は検診の時、先生が「あなたは、見かけはキャシャなの骨密度が120もある」と驚いていました。(これって凄いことらしいんです。)
妊娠中のつわりもなく本当に楽でした。・・・・

「群盲象を撫でる」の諺どおり、還元水の真実の姿を捉えることは難しい。あのころ、「20万円もする整水器を購入するより牛乳を飲んでいる方がマシ」と書いた大学教授がおられましたが(名前を控えておけばよかった)、現実は牛乳を飲めば飲むほど骨粗鬆症が増えている。そのうえ牛乳は体に悪いという説まで出てきた。牛乳を飲む方がまし、というのは批判のための思いつきの論だったということになる。
還元水(アリカリイオン水)で結果が出ているのに、学校給食から牛乳を飲んで育った現代人に骨粗鬆症が増えている現実を見れば、あの説を信じて骨粗鬆症になった人たちに、あの大学教授はどのように説明するのでしょうか? 体に悪いという説もあるわけですからそのような影響を被った人たちもいるかもしれません。
批判派は、いろいろな数値や論を振り回しても、結局本質をとらえていないから、現実に起きている現象の説明ができない。還元水が導き出している現象と批判論は矛盾しているわけだから、もっと狭量を広くして=つまり広量になって、さまざまな論を調べて、視点を変えて論ずることが必要だろう。いつまでも群盲ではこまるのである。