活躍する女性像(66)

【スキー】上村愛子が舞った!W杯3年ぶりVにスマイル全開

サンスポ.COM スポーツ 2008年02月17日 更新

【フリースタイルW杯スキー】モーグル女子決勝で鋭いターンを見せる優勝の上村愛子
【フリースタイルW杯スキー】
モーグル女子決勝で鋭いターンを見せる優勝の上村愛子
モーグルのエア技「コザック」を決める上村
モーグルのエア技「コザック」を決める上村
エア技「コークスクリュー」を披露した上村。
エア技「コークスクリュー」を披露した上村。



  フリースタイルスキー・W杯猪苗代大会第2日(16日、福島・磐梯町アルツ磐梯)愛子、久しぶりV!

男女モーグル第6戦で、予選を2位で通過した上村愛子(28)=北野建設=が決勝で22.59点をマークして逆転優勝した。

上村は05年2月のボス(ノルウェー)大会以来、3年ぶり3度目のW杯優勝。今季の種目別でも3位に浮上した。

長野五輪金メダリストで、トリノ五輪以来2年ぶりの試合出場となった里谷多英(31)=フジテレビ=は14位で予選落ちした。

上村愛子へ

 ぶれない。背筋を伸ばし、加速しながら滑走する。平均斜度30度と世界で屈指の難コースで、ターンを刻む愛子が突っ込んでいった。

 
女子ではトップの30秒15でゴール。ターン点も1位で日本開催のW杯を初制覇し、
「すごくうれしい。いいのかな、という感じです」
あのいたずらっぽく笑う、とびきりの愛子スマイルが戻ってきた。

 決勝前、午前中の予選との雪質の変化に気付いた。スキー板がより滑りやすい雪。制御するのが難しいが、「板をスライドさせると自分の滑りではなくなる。板の滑りに体が遅れないようにしよう」とスピード勝負に出た。

愛子といえば、エアで体軸を斜めにして回転する大技が売り物だが、この日はリスク回避のために封印。こぶの衝撃をひざの柔らかさでリズミカルに吸収しながら、スピードに乗った。

 12年前から数えてW杯で21度目の表彰台だが、過去優勝は2度。3度の五輪ではいずれも入賞止まり。今回の優勝は、課題だったターンを克服しつつあることを証明した。

 かつて、世界で屈指のターンテクニックを誇ったヤンネ・ラハテラ氏(フィンランド)が、昨季から全日本スキー連盟(SAJ)コーチに就任したのも大きい。同コーチは基礎の滑りを徹底して練習させており、SAJ・林辰男フリースタイル部長は「技術がないとこんな難しいコースをきれいに滑るのは無理。ヤンネの教えが結果に出てきた」と評価する。

 昨シーズンは左ひざ痛の影響で不本意に終わった28歳。「今季の開幕前は、こんなにいいシーズンになるとは思っていなかった」。大きな目に、たくましさも宿る。






上村愛子 鋭いターンでV奪回…「すごく成長した」と笑顔
2008年2月17日(日) 10時40分 毎日新聞 

 平均斜度29度、最大斜度が37度もある世界屈指の急斜面。さらにコース設定変更で上下二つのエア台の間が長くなり、より高度なターンが要求される難コースになった。

 予選2位通過の上村は、決勝でも見事なターンを見せた。1回目のエアからの着地点が難所だが、しっかり斜面をとらえると、ぐんぐん加速する。

 高野ヘッドコーチが「勝因だった」と絶賛した鋭いターンでこぶを次々とクリア。オフに体幹をしっかり鍛えた成果で「スピードに体が遅れないようにすること」ができた。スピードに乗り2回目のエアへ。難しい技を選択せず、板をクロスさせての後方宙返りを確実に決め、両手を突き上げてゴールした。

 採点で最も配分の高いターンと、30秒15の最速を出したタイムの両方でトップに立ち、エアも全体で2位の得点。「びっくりした」と自身も驚く会心の滑りに“愛子スマイル”を見せた。

 今季は開幕戦2位、第4戦でも4位と好調だ。「精神的に強くなった」と高野ヘッドコーチ。本人も「決勝の前はどきどきしたが、予選と同じ気持ちになれるようにした」と、精神面をうまくコントロールできるようになったことを自覚している。

 高い技術の持ち主だけに精神的にタフになったことは大きい。来年は日本で世界選手権がある。「すごく成長した。この気持ちを忘れないようにしたい」と手応えをつかんだ28歳。再びその笑顔で世界を魅了する。【立松敏幸】 

[ 2月17日 10時54分 更新 ]