夕貴「神様のような人」=「父の永眠」HPで報告=

工藤夕貴がホームページで発表したコメント全文(原文通り)

父・井沢八郎について

 2007年1月17日、父である井沢八郎が食道癌により永眠しました。
 いつも元気だった父で、ずっと長生きしてくれると信じていただけに、未だに信じられません。

 歌手としての井沢八郎は、まっすぐな姿勢で常に努力を怠らない、素晴らしい芸人でした。昔から、舞台に立つ父は私にとって神様のような人で、今もずっとその姿が私の心に焼きついています。ある時は、盲腸でも舞台に立とうとした父の姿に、プロとしての自覚や、どれほど一生懸命に、芸に対し て真摯でなくてはならないかを学びました。

 2005年9月に父の癌が判明して、本当に久しぶりに父と再会しました。以来、父は愛妻である美代子さんと家族ともに闘病生活を送ってきました。まわりを安心させようと気を遣う父の姿が印象的でした。闘病中の一年と約三ヶ月は、優しい父と最後の貴重な時間を過ごすことができました。美代子さんには最後の最後まで沢山の愛で父を支えて貰った感謝で一杯です。

 父が永眠した1月17日は、私の誕生日でした。私が仕事前の朝、病院に行った時、ほぼ昏睡状態だった父に「今日は私の誕生日なんだよ。パパに会って誕生日祝って貰えるなんて何十年振りだろうね……こうしてパパに会える事が私にとっては最高のプレゼントだね」 と語りかけると、何も話せないくらいに衰弱した父が、「おめでとう」と、必死で2回も応えてくれました。

 その時私は「父は私の誕生日を祝うために頑張っていてくれていたのかもしれない」と、あまりの父の愛情に涙が止まらなくなって、「パパ、ありがとう、本当にありがとう」と痩せた父に抱きついて、父の温もりを感じながら号泣してしまいました。
 今、父には感謝の言葉しか出てきません。

 もう生の歌声を聴くことはできま せんが、歌手としての井沢八郎は生き続けています。父の功績、軌跡を、娘として家族と共に生ある限り守っていきたいと思っています。
 そしてファンとして父を支え続けて下さった皆様、ご心配を掛けて本当にすみません。そして父を長い間応援して下さりありがとうございます。家族と共に、心から感謝の気持ちを 述べさせて頂きたいと思っています。
 今、長い闘病生活が終わって、家族とともに、父のことを静かに思い出しています。お通夜まで、そっと見守っていていただけると幸いです。どうか父のご冥福をお祈りください。

2007年1月18日 工藤夕貴

病状の経緯
2005年9月食道癌にて入院
10月手術
2005年11月退院
2006年5月癌の転移(リンパ節)が発覚
 以後、放射線治療・
免疫療法を続ける
2006年11月再入院