がんと闘う(5)

腫瘍摘出へ!!小橋、肝臓がんの疑い。

プロレス界に激震が走った。”ノアの鉄人”こと小橋建太(39)が腎腫瘍摘出手術を受けることか6月29日、明らかになった。

小橋は鉄人の異名の通り、超人的なスタミナと激しいファイトで数々の名勝負を演じてきた。一時はひざの故障で選手生命も危ぶまれたが、不屈の闘志で復活。GHCヘビー級王座は最多13度の防衛記録を樹立。プロレス大賞ベストバウト賞は昨年まで3年連続で受賞。今やマット界の顔として君臨している。

エール続々、鉄人が負けるわけない!!必ず戻ってくる。


小橋建太

ノアの小橋建太(39)が腎腫瘍摘出手術を受けるため、7月1日に開幕するシリーズを欠場することが6月29日、明らかになった。腫瘍は右腎臓に4~5センチ大のものがあり、悪性の疑いがあるという。がんの可能性が高い。とはいえ、そんなものに小橋は負けない。「治ると信じて病気と闘っていきたい」と剛腕で病魔をねじ伏せることを宣言した。ノアの三沢光晴社長も完全克服を信じている。

日本マット界に衝撃が走った。6月29日午後、ノアは小橋にがんの疑いがあることを公表した。
「右腎臓の腫瘍派4~5センチです。正確には判定できてないが、画像から判断すると悪性かと思われます」。自宅で療養する小橋に代わり、三沢社長が明らかにした。まさに突然の宣告だった。年に1度、ノアが実施している健康診断が行われたのが6月19日。CT検査を22日に受け、24日に腫瘍が発覚した。小橋自身は最近腰の痛みを訴えていたが、内蔵の異変は自覚してなかったという。
24日に小橋から報告を受けた三沢社長によれば「(病気は)人ごとと聞き流していたが、まさか自分が…」と、さすがに小橋もショックを隠せなかったようだ。にもかかわらず不安を押し殺し「自分の体よりも試合に穴をあけるのが一番辛い」と漏らしたという。
小橋は現在病院を探している状況で、手術の日程も決まっていない。もちろん今後は病気と闘うこととなり、高山善廣の復帰戦(高山・小橋組 対 三沢・秋山準組=7月16日、日本武道館)のカードも白紙となった。

腎腫瘍は90%が悪性のものらしい。それでも転移がなければ助かる可能性は高いといわれる。三沢社長によれば、医者は「早期発見です」と語ってたそうで、がんであったとしても悲観することはないだろう。
何より小橋の強靱な精神力があれば、病気の克服は十分可能だ。
「小橋も必ず復帰したいと言っている。肉体的にもそうだけと、精神的にも気持ちが折れることが一番怖い。でも皆さんもご存じのように、小橋に関しては問題がない」と三沢社長も断言する。

そのとおり、逆境に立たされてからが鉄人の真骨頂でもある。ヒザの手術に踏み切った2001年には再起不能といわれた。それを覆して見事に復活し、絶対王者に君臨した。不沈艦スタン・ハンセンにはブルロープでシバかれ、左腕を20針以上も縫ったこともある。リング上では何度も死線をさまよった。しかし小橋は常に必ず立ち上がってきた。
「いい意味で休めって神様から言われたんじゃないの。オレが心配なのは入院中に練習しないかってこと。練習しそうで怖い。ダンベル持ち込みは禁止だな」。三沢社長はジョークまじりにこう話した。必ず戻ってくると確信しているからこそのセリフだ。
三沢社長は続ける。「若い奴は育っているが、オレらはマツしかない。でも一番弱音を吐きたいのは小橋なんだから。オレらが弱音を吐くわけにはいかない」

そう、小橋は帰ってくる。必ずや、病魔をKOしてリングに立つ。小橋が腫瘍なんかに負けるハズがない。

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緊急手術が決まった小橋健太にはノア選手、さらには98年にがんを克服した西村修(フリー)、新日本プロや全日プロでリングドクターを努める林督元医師から復活を望むエールが送られた。

西村修:私はあえて気休めは言いたくありません。「なぜオレだけが…」などとなげやりになることなく、前向きに病魔と向かい合っていただきたい。おそらく小橋さんがGHCの防衛戦を戦ってきたどの敵よりも強敵だと思います。それでも戦い抜く勇気を失わないでほしい。

林督元医師:腫瘍が陽性ならば、摘出手術してから2ヶ月もすればトレーニングを再開できるでしょう。悪性の場合は転移がないよう経過観察が必要となり、この場合は治療に専念する必要があります。いずれにせよ一日も早いご回復をお祈りします。

志賀賢太郎:ビックリしました。でも、小橋さんならどんな病気も病気じゃない。ポクらは復帰をしてくる日を待つだけですが、小橋さんがリングに立っている姿がもう想像できます。

金丸義信:信じられない。一日も早く戻ってきてほしい。選手会としては小橋さんがいない間も、リングの上で試合を見せていくだけ。付け人時代はいつも試合後にシューズを脱がせながらコメントを聞いた。「ガンガンいけばいい」とか…。早く元気な姿に戻ってほしい。

丸藤正道:確かに痛手だけど、オレたちが深刻になっちゃダメ。鉄人と呼ばれる人なんだから、きっと戻ってくる。それまでしっかりノアのリングを背負って立つ気持ちでいく。小橋さんは治すことだけ考えて、ムリに重いバーベルを持ち上げたりしないでほしい。

森嶋猛:さっき聞いたばかりで頭の中が混乱している。小橋さんがてなくなっても自分を磨いて、見劣りしないような試合をしていきたい。

KENTA:安心して治療に専念してもらいたい。安心して帰ってきてもらえるようにしたい。小橋さんが頑張ろうと思ってくれるような試合をしていきたい。

モハメド・ヨネ:今日、吉田(光雄)副社長から聞きました。最初は冗談キツイなと思ったけどビックリです。でも小橋さんはいつでも復活してきた人。信じていますよ。(ベルトを)取られた借りを返したいんで、強い小橋健太を待っています。

■腎臓がん

助骨下端の高さに左右ひとつずつあり、血液をこして尿を作ったり、血圧のコントロールや造血に関するホルモンを作り出す腎臓にできるがん。男性に多発する傾向があり、遺伝しやすいことも知られている。がんが5センチ以下の小さい場合は、症状が出ることはまれのため早期発見が難しいとされている。がんが大きくなると、血尿や腹部にコブができたりズキズキする痛みが起こる。治療は、摘出手術が主で、がんが小さく腎臓内だけの場合は完治する可能性が高い。

=7/1東スポ=

【格闘技】

小橋、手術成功…転移なし


小橋の腫瘍発覚を公表する三沢社長。
会見場は凍りついた。

 7日のノア高砂大会で三沢光晴社長が、右腎臓に腫瘍がみつかり欠場中の鉄人・小橋建太の腫瘍摘出手術が6日に行われ、無事成功したことを明らかにした。体への傷あとが少ない体腔鏡手術を行った鉄人に、三沢も「復帰する気、バリバリだよな」と、安堵(ど)の表情を浮かべた。 
 鉄人が病魔をねじ伏せた。先月29日の緊急会見で三沢社長が、小橋に腫瘍ができたことを明かし、ガンの可能性を示唆。多くのファンは小橋を心配し、同時に必ず帰ってきてくれると信じた。そして、小橋がファンの期待を裏切るわけはなかった。 
 三沢社長によると、6日に約5時間半に及ぶ手術が行われた。体に小さな傷しか残らず、回復も早い体腔鏡により、右腎臓が摘出。他の臓器への転移は見られなかった。7日現在、手術の痛みは残っているものの、経過は順調だという。「完全には安心できないけど、とりあえずはホッとしたかな。常人の3倍の筋肉があって大変だったとは聞いたけどね」と、三沢は手術の成功に笑顔をのぞかせた。 
 早ければ今月中にも退院する予定で、「縫合も目立たないようにやったと聞いた。復帰する気バリバリだよな」(三沢)とリング復帰に向け、小橋は今にも練習しかねないが、三沢は「練習はダメ。社長命令というか会社命令だよ」と強烈にクギ。「体を動かさないといられないだろうけど、今回に限っては徹底的に休んでもらいたい」と、目先ではなく、将来を見据えた休養をとるよう厳命した。 
 だが、小橋が病魔に打ち勝ち、リング復帰への大きな一歩を踏み出したのは紛れもない事実。道のりは険しいかもしれないが、鉄人・小橋ならきっとリングに帰ってきてくれるハズだ。

=7・8内外タイムス=