【天声人語】2006年06月02日

 人々が、がれきを手で取り除いてゆく。やがて横たわった母親がみつかる。その母が右腕でつくったすきまの中に、生まれて間もない男の赤ちゃんがいた。インドネシア・ジャワ島を襲った地震で、母を失いながらも、がれきの下で生きのびた小さな命があった。


【感想】
キーワード:生命力
 動物には生存本能というものがある。それは人にも当てはまる。しかし、人間は文明化が進むにつれ、理性を発達させ、本能を退化させてきた。
 昨年の自殺者は3万人を超えるらしい。何が人を死に急がせるのだろうか。動物の世界から見ると、生きていたくないからという理由で自らの命を絶つのは極めて異常だろう。人はすでに動物という概念から外れた生き物になっているのか。
 それでも、力強く生きようという人もいる。同じ“人”というくくりの中で、何が生命力の強さを変えているのだろうか。病んでいるのは人の心か、人間社会か。