【天声人語】2006年05月02日

 「もはや戦後ではない」と経済白書が書いたのは、1956年だった。その年に、水俣病が公式に確認された。以来半世紀、首相は小泉氏まで22人いるが、現地には一人も足を運んでいない。公式確認の日から50年になる昨日も、水俣に首相の姿はなかった。


【感想】
キーワード:悲劇
 地震、台風、火事。さまざまな悲劇があるが、これら自然災害とは違い、水俣病は人為的災害である。公式確認までに要した時間もさることながら、半世紀経っても一向に解決しないこの問題。国としてはすでに終わってしまった過去のものなのだろうか。
 50年が経ち、被害者の多くは亡くなってしまった。このままでは、水俣病被害者は一人もいなくなってしまう。人々の記憶から薄れ、やがて過去の悲劇はなかったことになってはしまわないか。うやむやにしてしまえ。国の対応はそんな姿勢にも思えてくる。
 水俣病の悲劇は、病気そのものだけでなく、放置され、忘れられる悲劇もあるのかもしれない。