たまたま、この時期に、乾貴士選手と堂安律選手、二つのドキュメンリー番組を見ました。一応ご紹介しておきますと、乾選手の放送は、WOWOW制作「ノンフィクションW 乾貴士 そのドリブルで未踏の領域へ」、堂安選手の放送は、BS-TBS「裸のアスリートⅡ『堂安律(サッカーU-20日本代表)』」です。

乾選手のは、初回放送を見ておらず、今回再放送を見たものです。堂安選手のは初回放送だと思います。

タイトルに「乾貴士選手29歳、堂安律選手19歳」と付けました。まさに10年の違いが詰まったドキュメンタリーのように感じました。

二人に共通している日本人的な特徴が二つあります。一つは小柄であること、乾選手などは自分が4つも5つも年上でも、小柄であることから「可愛がられ」一方では「いじられ」ていることをサバサバとして語ってくれました。

もう一つの特徴は、すばしこくドリブラーであること。これも、いかにも日本人的ですよね。つまり世界基準で日本人が勝負できる分野を象徴している選手といえます。

 

もちろん本田圭佑選手や、吉田麻也選手のように外国人にひけをとらないフィジカルで勝負できる選手も増えてはいますが、今回の二人は、かつての日本の代表的な輸出品、トランジスタラジオやウォークマンをイメージさせる、いわばオーソドックスな日本の輸出品という感じです。

たまたま、乾選手は右利きで左サイドの前線、堂安選手は左利きで右サイドの前線という違いがあり、そこは面白いところです。

あえて、もう一つの共通点を付け加えれば、二人とも関西人だということです。この関西人らしい「ノリの良さ」を二人とも備えていて、それが欧州サッカー戦場で生き抜くためには、いいほうに作用してくれると思います。

二人のドキュメンタリー放送を見て思ったのは、日本人選手の欧州での活躍に10年の幅ができてきたということです。10歳の年の違いといえば、完全に別の世代です。別の世代の選手たちが同時期に欧州の戦場にいる、そういう時代になったということです。

 

乾選手は、リーガ・エスパニョーラという、これまで日本人が誰一人成功したと言われていないリーグで最初の成功者になろうとして頑張っている選手、片や堂安選手は、当面「東京五輪で日本代表を勝たせるエースと言われる選手になる」ことを目指して海外挑戦を始めた選手です。

乾選手は、いまキャリアのピークを充実した思いで戦っています。5月のバルセロナ戦での2ゴールは、彼をゴールハンターとして一段エゴイストにしたことでしょう。

堂安選手は言います「それまでには、もう一段ステップアップの移籍ができなければと思っています」と。10歳台で欧州移籍を果たした選手は堂安選手が初ということですから、新たな時代が来たということになります。

まさに欧州における日本人サッカー選手の豊穣なるさまを見る思いです。来年のロシアW杯に必ずしもこの二人がそろい踏みできるかどうかは未知数です。ハリル監督の戦術的なチョイスに合うかどうかもありますし、コンディションがそこに合うかどうかもあります。

それでも、ゴールに向かう気持ちを一段と強めた選手たちが、一人でも多く育つことが、今の日本サッカーにもっとも必要なことです。楽しみです。

 

では、また。