廃区置藩
航空母艦
小泉元首相が引退し、後継者に27歳の次男を指名したというニュースを知り、周囲がそれを当然のこととして受け取っているようなので、とっさに考えたのは「神奈川11区というのは、私有財産か」ということでした。それまでの中選挙区制が今の小選挙区制に変わった際に、「小選挙区の一つ一つに大名家が生まれかねない」と書いてあったのを思い出しますが、その危惧は当たったようです。私にとって小泉氏の引退は、その業績の功罪や今後の政情への影響もさることながら、日本の政治が二世・三世によって行われる傾向を促進することにならないか、という面で問題なのです。二世・三世は生の世間を知りません。彼らの中には有能な者も少なくないことは認めますが、一旦トップの地位につくと限界を露呈するのは最近続けさまに目の当たりにしたところです。おまけに、事態はそれどころではなく、日本、少なくとも自民党では、能力において欠けるところのある者ですら、二世・三世であることをもって責任ある地位につきやすい。
こういう視点からマスコミは小泉氏が次男を後継者に指名したことにスポットを当てるべきですが、今朝の7~8時に主要な新聞や通信社のサイトを一覧すると、見出しに後継者の件を入れていたのは、以下の4件のみでした。
小泉元首相が引退表明=衆院選に出馬せず、後継は次男 [時事ドットコム]
「後継者は進次郎だ」小泉元首相、27歳の次男を指名[ 朝日]
ただしこれは私の家に配達される東京14版にはありませんでした。
小泉元首相:次男を後継に 「やはり人の子」「がっかり」 [毎日]
小泉元首相が政界引退 次期総選挙は二男を後継に、後援会の会合で表明 [産経]
読売、日経と共同には後継に触れた見出しはないようです。以上の見出しのうち三つは後継の件を見出しにあげてはいますが、内容も含めて世襲についての批判はありません。例外なのは毎日のもので、見出し自体が批判色を押し出したものですが、記事ではさらに松沢成文・神奈川県知事の、「小泉さんは派閥政治を否定し、日本政治を変えようとした。世襲政治にも一線を引く潔さがあれば株が上がったのではないか。やはり人の子だったのか」という苦笑まじりの談話を採録しているあたり、辛うじてジャーナリズムが生き残っている姿を見せています。
もっとも、見出しは【小泉元首相政界引退】「信念貫いた」「功罪ある」政界の反応は様々 と穏当な産経の記事にも、小泉氏が次男を後継指名したことにより、自民党の世襲批判が強まる可能性もあるとして、ある閣僚経験者の言葉として「もはや衆院選を先送りしても事態が好転することはない。審議入りをせずに一気に解散した方がいい」というものを引用してます。産経といえば政府・自民党寄りという定評がありますが、時にはこのような他のマスコミには出ないが常識的な視点を示すことがあり、普段が普段だからということで、内容に迫力を与える結果になっています。
なお、以上より遅れた報道ですが、小泉氏引退「前から話あった」=麻生首相 [時事]という報道があります。多くの政治家の「前から聞いていた」には強がりが多いでしょうが、いくら何でもこれはうそではありますまい。ちょっと目を引くのはその後半に「次男の進次郎氏が後継者に予定されていることに関しては『お父さんと違って普通の人よ。奇人とか変人じゃなくて普通の人。有能だと思う』と述べた。」とあることです。本人が五代目だそうですから、これは勿論世襲を批判しているのではありませんが...とすればこういう軽口をたたくしかないでしょう。「悪貨は良貨を駆逐する」の好適な例です。それにしても「有能だと思う」程度の27歳の人物に、あっさり国会議員になられてはたまったものではありません。
テレビのある解説によれば、今のように対立候補も出ていない状況で引退を声明し、後継者を指名するのはたいへんタイミングのよいやり方で、これは因習的なものでもあるそうです。小泉純一郎というのは本当にとんでもない人間です。自民党をぶっ壊すといいながら、実際にぶっ壊したのは国民生活であることは今さら言うまでもありませんが、方便としてでしょうが「改革」を言いながら、実際は古いテクニックを用いて小泉家の安泰を図るとは、本人自身が改革され、ぶっ壊されてしかるべき存在であるとしか言えません。
☆若君の 祝いで黒船 気にかけず
☆市場主義 悪家は良家を 駆逐する
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