闇か光かは目のつけどころ | 回廊を行く――重複障害者の生活と意見

闇か光かは目のつけどころ

NHKNHK

日曜日の夜に放送される『サラリーマンNEO 』という番組があります。NHKのものですが、30分という短い時間にサラリーマンの諸相を皮肉っぽく取り上げ、出演者も舞台系の演技派が多くてわざとクセのある演技を披露し、なかなか人気があるようです。この番組に「世界の社食から」というコーナーがあり、各国の企業の社員食堂を映していて興味深いのですが、この間はキャノンの食堂を紹介していました。実は企業名が映ることを極力避けているNHKの番組の中で、この番組だけはそれにこだわらないことで異彩を放っていて、番組の初期から日産自動車のCEOであるゴーン氏を続けて登場させているほどです。従ってキャノンが登場したこと自体に問題はないのですが、映されるのが社員食堂であることから見ていて悪い予感がしました。

私の場合悪い予感は当たることが多いのですが、このときもそうで、キャノンの会長にして経団連の会長でもあり、いわゆる「改革」の旗を振っている御手洗氏が出てきたのです。キャノンといえば「派遣」をめぐって、違法とされる偽装請負などを行ったとして批判されており、御手洗氏はその批判に対して法律の方が間違っていると反論したそうですが、その御手洗氏が出社した時はいつもこの食堂を利用するとかで、実際にお盆を手にして空いているところを探して社員と同席するという、ある意味でサービス満点の画面がありました。御手洗氏がNHKにサービスしたのか、それともNHKが御手洗氏にサービスしたのであるのかはともかくとして、御手洗氏にプラスのイメージを与えたのはたしかです。

ここで偽装請負云々という解説を入れるべきだなどと野暮は言いません。しかし社員食堂であれば、正社員以外の派遣社員などが利用できるのだろうかという疑問を、持った人は少なくなかったのではないでしょうか? 「アルバイトの社員もここで昼食をとっています」くらいのナレーションがあればよかったというのは、あるいは木によって魚を求めるの類かもしれませんが。あるいは「正社員以外は利用できません」ということも、ありえないとは信じますが可能性はあります。またある企業では食堂の価格は正社員とそれ以外とでは格差があり、前者のほうが安いという話もあります。経団連会長の会社でまさかそういうことはないでしょうが。

NHKではもう一つ教育テレビで『知るを楽しむ 』というシリーズがあります。「この人この世界」「私のこだわり人物伝」「人生の歩き方」「歴史に好奇心」と四つのテーマがあり、字幕もついていて再放送も頻繁ですから、最近ではほとんどを見ています。6月は最後のテーマでは「江戸の色恋ものがたり 」というのをやっていて、法政大学の田中優子教授が解説したのですが、最初はちょっと違和感を感じました。江戸の流行は吉原等の遊郭から始まり、粋とか恋とかの意識も遊郭で育まれたというのですが、最近どこかで「遊郭を文化的に評価する風潮があるが、遊女はしょせん売買の対象だったし、死んでもまともな葬儀をしてもらえるのは僅かだった」とか読んだところだったので、ひっかかったわけです。ところがその最終の4回目で(大体一つのテーマは4回)心中の話となり、貨幣経済の発達と農村の疲弊から遊女は金で自由を奪われた存在で、本当の恋を達成しようと思えば心中しかなかった。庶民はそこを見抜いていたから心中物が人気を集めたのだという説明があり、これで首尾一貫すると納得したものです。

ただし上記のウェブページを見ると、第4回の梗概としては「
恋の文化のゆりかごとなった遊郭。そこで繰り広げられた男と女の悲喜劇を通して、江戸時代の日本人の美意識へと迫っていく。」といった調子なので、せっかくの田中氏の熱弁も生かされていないようです。

「闇の夜は吉原ばかり月夜かな」という句があり、これは吉原の不夜城ぶりを詠んだのだと思う人が多いでしょうが、実は「闇の夜は吉原ばかり 月夜かな」と読むそうで、
つまり世間はいくら月夜で明るくても、吉原は闇だという意味だそうです。

☆闇の夜は 負け組みばかり 月夜かな


人気blogランキングへ
↑↑<クリックお願いします>↑↑