聞くのはタブーか?
前にも触れたと思いますが、テレビ東京に『カンブリア宮殿』という番組があって、作家の村上龍がタレントの小池栄子と組んで勝ち組の経営者にインタビューしています。「成功した」経営者のご託宣というのは好きではありませんが、この番組はその種のものの中では珍しい字幕付きだし、村上氏の姿勢もよくある御用評論家のそれとは違いますから、時々見ています。
昨日は「吉野家」のトップが出ていたのを途中から見たのですが(「トップ」としないと、最近では社長やら会長やらはてはCEOやら、間違う恐れが少なくありません)、このトップは高卒のアルバイトからのし上がったのだそうです。他に20人ほど出ていた社員も、その多くがアルバイト出身でした。
一方、見始めたときにはアメリカのBSEで吉野家が危機に陥った時の話だったのですが、何故このときに牛肉の輸入先を変えなかったのかという質問に、「うちの牛丼のタレはアメリカ産の牛肉に合わせたもので、よその牛にするとそれをすっかり変えなければ」と答えていたのに、なるほどこれがトップの決断というものだなと思いました。トップとか管理職とかいうものは、実は部下のおかげで成り立っている部分がすごく大きいと思っている私にとっては、トップの決断を感じるのはよほどのことです。
そしてその危機を乗り越えられた理由はという質問に、「社員が一丸になってくれたから」という意味のことを答えるのを見て、この手のものを見るときにいつも考える、タブー的な質問をしてくれないかなと思いました。それは「全社員とおっしゃるけれど、それはいわゆる正社員ですか? それともアルバイト、パート、派遣といった人々のすべて、あるいは一部も含めるのですか」というものです。
この『カンブリア宮殿』もそうですが、勝ち組の経営者への質問は多くがほとんどが技術や組織の開発問題で、労務問題についてはほとんど例がありません。しかし例えばキャノンは日本の代表的な精密機器メーカーで、会長の御手洗冨士夫氏は日本財界の総本山と言われる日本経団連の会長ですが、キャノンは違法な労働形態である「偽装請負」を行ったということで行政指導を受けています。御手洗氏は一部で経営者として褒め称えられていますが、この偽装請負についての発言は求められていないようです。ところが一方、経団連会長としてでしょうが、偽装請負を可能ならしめるような法の改定を求め、また企業の法人税率を下げることも要求しています。そういったことを口にする資格のない者を経営者団体の会長としている日本の経営者も嘆かわしいのですが、この人を国会の委員会で格差問題について証言させようとする民主党を、自民党の幹部が牽制しているようではどうにもなりません。日本の企業が労働者の搾取によって成り立っているのが明らかになるのは、自民党にとってもタブーなのでしょうか?
ちょっと話がそれましたが、吉野家に限らず、「成功した」企業では労務問題がどうなっているのか聞いてみたくなるのはおわかりでしょう。トップが高卒のアルバイト出身であり、社員の多くもアルバイト出身である吉野家の、現在の人員構成がどうなっているのか。分野によっては派遣社員も用いているのかどうか。こういった質問を切望したのですが、結局その方には触れなかったのは、やはり勝ち組に対して労務問題はタブーということだったのでしょうか。
☆社員とは 働く人か 資格者か
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