2007年バリアの旅(2) | 回廊を行く――重複障害者の生活と意見

2007年バリアの旅(2)

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②サインの重要性

階段から踏み出した時もそうですが、エレベータや列車から降りた時も、どちらに進むべきか迷うものです。エレベータの場合新幹線ホームだとそこが何号車の位置であることは大体すぐにわかりますが、どちらに行けば小さい(あるいは大きい)番号の号車になるかは少し動かねばわかりません。もっと困るのは列車を降りてエレベータはどこだという場合で、今回の帰途で品川で14号車を降りてからエレベータの方向を示す表示は一度も見かけませんでした。行きの経験でわかっていたからよかったようなものです。一方、往路に京都で降りた際は、方向を示すサインが柱ごとに切れ目なしにある感じで安心できました。こういう時に限ってエレベータは8号車の位置ですから苦労は少なかったりするのです。


乗り物関係に限らず、道路や公共施設におけるサインの役割は重要なものです。このことは認識されているようで、「日本サイン学会というものもあります。97年に第8回大会とありますから90年ごろに発足したのでしょうが、実は私はここに何回か問い合わせのメールを出したことがあります。入会資格などを聞いたのですが、返事があったことはありません。障害という厄介なことには当面ノータッチにしようというのかも知れないと思ったのですが、今回第8回(97年)の記事を見つけたところ、「デザインを進める際に、バリアフリーについて配慮することは今や欠くことのできない要件のひとつとして認識されている。」というくだりがありました。



私の障害で主なものが聴覚障害だけだった頃も、気軽に人に聞けないのでサインの重要性は大きなものでした。今はその上にうっかり必要以上に遠回りなどすると呼吸状態に響いてきますから、重要性はより大です。地下鉄から地表に出るエレベータ(ないこともある)などは、とんでもない離れたところにあったりするのですが、そこへの案内サインすら動き回って探さねばならないことがあります。あればまだよいということもあります。また、エレベータに限りませんが、長丁場を歩いているうちに行く先のセットから目的地が抜けたり、又現われたりすることがあります。数年前のまだ自由に歩けた頃の体験だと、大阪北の地下街ではそういうことが少なく、東京の八重洲地下街ではサインに一貫性が欠けているところがありました。サイン学会の影響力がどのくらいかは知らないのですが、バリアフリーに配慮することが必須とわかっているのなら、サインのデザインもさることながら、サインをどのように表示するかといったところにも意を払ってほしいものです。


③エレベータの過重警報

最初に述べたように私の旅行はいつも大荷物です。今回は家内とエレベータに乗り込んだところで、重量超過のブザーが鳴ったことがありました。もちろん私は気がつかず、家内が教えてくれて降りたのですが、一人だったらもたついたことでしょう。このことはいつも意識しているので、一人のときは先客が多いとやり過ごすことにしています。しかし考えてみるとこれは簡単に改善できるので、重量超過になったらコントロール・パネルの上部とか、あるいはパネルそのものが光るといったシステムにできるでしょう。ピンクとかオレンジの色であれば重量超過で、何か事故の場合は赤く光るといったようにすることが考えられます。


障害者、とくに身体障害者に関して、ITの発達待ちという傾向も見られます。誤りとは言い切れませんが、いたずらにイノベーションを口にするよりは、既存の技術をもっと活用すべしというのが私の考えです。この重量超過を視覚的に知らせる装置もそうですが、地下鉄車両の多くには電光板を設置しているのに、駅間で長い間止まっていた際の説明情報を流すというようなことには使っていないようです。これはアナウンスの聞こえないものにとっては不安な時間ですが、技術あって配慮なしと思い知らされる時間でもあります。また問い合わせ手段としては電話番号しか記載していないサイトが多いのですが、ファクス番号やメールアドレスも明らかにしてこそ技術を十全に利用していることになります。


④ホテルのバリアフリー室

京都では協同組合が経営しているホテルに泊まりました。障害のことを予約の際に言うと、先にも書いたように車椅子ユーザ扱いとなってバリアフリー室に案内されました。広いし、バスには手すりもついているのはいいのですが、家内だけがちょっと部屋を出る際に困りました。ドアを出て閉めると自動的に鍵の閉まる方式ですが、中に私のみとなるとチャイムもノックもわからない。鍵を持って出ればいいようなものですし、実際そうすることもあるのですが、ここでは鍵を壁の装置に突っ込むと電気がONになるというシステムなので、暗い部屋でテレビもクーラーも酸素関係の機器もOFFにして待っているわけにはいきません。仕方なしドアにスリッパをかませました。短時間だからいいようなもの、深夜だったらと思うといい気持はしませんでした。ただしこのホテルは費用もリーズナブルだし、朝食のバイキングも安くて美味、それに大道路でなく狭い小道に面しているなど、全般的にはお勧めのところであったことは書いておきます。


ノックやチャイムが聞こえないお客に対しては、単純な工夫ですみます。チャイムのボタンを押すとどこかでライトがつくようにしておけば十分です。バリアフリー室を標榜するならばこのくらいは考えてもよいでしょう。一度だけボストンに行ったことがあります。難聴者の会議だったのですが、振動で起こす目覚ましとか、振動と光で火事などを知らせる装置とか、いろいろ備えてあって、部屋ごとに希望者に貸していました。日本ではバリアフリーを標榜する宿泊施設はWEBを見ると結構あるようですが、聴覚障害者向きの設備のあるのはわずかです。せいぜいが手話のできる人がいる、筆談用の器具があるくらいで、ファクスとかテレビの字幕装置を貸すというのもあるけれど、ごく少しです。


☆あるものを まず使ってから イノベーション


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