ガス抜き師
社会保険庁によれば職員による国民年金保険料などの横領・着服額は、自治体職員分とを併せると、総額約3億7000万円となるそうです 。同庁のたるみぶりは際限がないようですし、さらにそれに対する追求を手控えようとしていたことなどにも弁護の余地はありません。舛添厚生労働相が「盗っ人は最後の一人まで草の根かき分けても探し出す」などと言ったのも当然でのことです。
しかし一方では、13ヶ所の「グリーンピア」なる保養施設の年金資金による建設がいずれも失敗に終っていることも注目すべきでしょう。年金保険料1,953億円を投じたグリーンピアの地方自治体等に対する売却総額は、わずか約48億円 であったということです。ある資料 によると最高の300億円を投じた三木(兵庫県)の施設は、そのわずか3.6%である9億1855万円で売却されたそうですし、投入額に対する売却額の比率でもっとも高いものでも横波(高知県)の4.72%。もっとも低いものでは大沼(北海道)の0.75%だそうです。見込み違いもこうまでなると、刑事事件を構成するかどうかは別としても、建設当時の起案者や決裁者の名前は明らかにされるべきではないでしょうか。
職員による横取・着服額で現在までに判明したのは総額3億7000万円。グリーンピアの投入資金総額-売却額総額は1905億円。後者の莫大な金額を誰がどのように決定して支払ったのかも、「最後の押印者まで草の根かき分けても探し出す」べきではないでしょうか。既に民主党が、国政調査権でもって資料を提出させる準備を整えているとのことです。グリーンピアに投入された金額の総額を記載している資料によれば、建設地13ヶ所のうち8ヶ所が歴代厚生大臣の地元であったそうですから、この辺の事情も明らかになることが期待されます。掛け声だけでなくそれが実現すれば、なるほどこのようにして一票が力を持つようになるのだなというのが実感できることでしょう。
安倍新内閣では舛添厚生労働相が注目され、ほとんど唯一の期待される存在となっています。それが横取・着服について厳しい姿勢を示しているのだから、年金資金の無駄遣いについても責任解明が期待できる・・・と、こうなればいいのですが果たしてどうでしょうか?
舛添氏は7月の参院選で自民党が惨敗した時、ほとんど真っ先に安倍首相の責任を問う発言をしました。それが今では安倍改造内閣の希望の星となっています。大臣を受ければこうなることは聡明な舛添氏にはわかっていたに違いありません。舛添氏を評価しようとする時、この辺が悩ましいことになります。2005年の郵政国会でも、舛添氏は自民との参議院議員としては実に鋭く小泉首相に迫っています。2005年8月2日の162国会 での参議院郵政民営化に関する特別委員会における舛添氏は、次のように小泉首相に質問しました。
「ということで、今我々はこれだけ熱心にこの郵政民営化の議論をしていますけれども、こんなに少ない、〔政策の優先順位として〕読売だと十六番目、東京新聞七番目、日経新聞十一番目、それをなぜ総理は今そこまで熱を入れておやりになるんですか。」
「やっぱり全体の経済政策を良くしないで、何かあったら我々の郵便貯金、簡保の資金使って賄えばいいという、そういう態度が続けられれば、これは問題片付かないと思う。総理、そこをしっかり国民に説明してくださいよ。」
「そこで、民にできるものは民にということをおっしゃいましたけれども、これは民になるわけですけれども、民になってもそこのところはちゃんと残すのか。それ、どういう理論付けで残すのか。総理の言うことを聞いていると、もうとにかく税金使うなと、もうとにかく民でやれと。じゃ、今いろいろ宅配便業者がおりますけれども、彼らが目の不自由な方の点字をただで運んでいるか。運んでいませんね。郵便局にやらせますね。なぜですか。」
これらに対する小泉首相の答弁は、例によってはぐらかすようなものが主であったので再録はしませんが、舛添氏がなかなかの正論を吐いていたことは事実です。しかしその後で、162国会でも、総選挙後の163国会でも彼が投じたのは賛成票でした。そして厚生労働相となる前に参議院1回当選でありながら党の参院側の政調会長となっていました。どうも舛添氏の本職はガス抜き師のようです。最高学府の助教授(当時)までつとめた人物としては、「ガス抜き師」などという貶めた別名は不服でしょうが、それならそうでないことを見せてもらわねばなりません。
それは、かつては国鉄解体などでも使った、末端の現場に事態の責任があると宣伝し、幹部層の責任にはほとんど論を及ぼさないという手法を、今回の社会保険庁解体においては用いないことではないでしょうか。解体はやむをえないかもしれませんが、上層部の責任も、きっちりと白日の前にあらわにして見せることではないでしょうか?
☆この度も またもあの手か 目くらまし
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