労働組合の役割 | 回廊を行く――重複障害者の生活と意見

労働組合の役割

 主要産業の労働組合が数年ぶりに賃上げを要求しているそうですし、連合もパート労働者の賃上げを要求するなど、久しぶりに労働組合の活動の報道が多く見られるようになりました。パートなどの組織化が遅れているのは日本の組合運動の弱点ですが、今回の連合の要求は、パート労働者の賃上げが進むと常勤労働者との差が少なくなり、同じことなら定着した労働力のほうがいいから、結果として常勤労働者が増えるという効果も期待できるという解説もありました。

 労働組合に国民生活のセーフティネット的役割を期待するのは望ましいとはいえないかもしれませんが、野党が弱い現状ではやむをえないところもあります。以前は労働組合はもっと政治的な役割を担っていたものですが、対立していた総評と同盟が他も含めて統一して連合となり、民間労組が主導権をとった連合が物分りがよくなって以来、経営側との先鋭な対立というものはあまり聞かなくなっています。

 労働組合のナショナルセンターの勢力は、昨年暮れの厚生労働省発表では連合が667万2千人で、それに次ぐ全労連が95万4千人。組織労働者全体に対して前者が65.8%、後者が9.4%ということです。60~80年代には総評が450万人、同盟が200万人強で、他にも中立労連が約150万人ありました。

 今は連合が圧倒的ということで、ある意味損をしていると思えるのは、各省庁の中枢的審議会の委員に、労働者代表としては連合の幹部が一人だけ入っているというケースがほとんどなのを見たときです。80年代までは、ある程度以上の大きさの審議会だと、総評一人、それに同盟か中立労連というのが多かったと思います。一人が二人になっても大勢に影響はないとも言えますが、やはり複数いると迫力が違うし、審議会内部の動きについて発信する情報量も多かったでしょう。

 ここで思い出したのは国家公安委員会です。その構成を見ると委員長が大臣(議員)である他に、学者から2名の他財界、官僚、マスコミから各1名となっています。インターネットでは過去の詳細は見つけられませんでしたが、1958年の岸内閣による警職法改正案提出に当たって、警察権力を強大化しようとするその案を、事前に了承した委員の中に同盟出身の労働運動家がいたことが問題とされました。その後任もやはり労組関係者だったと思いますが、いつの間にかそのポストは学者で埋められるようになっていたようです。

 また、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会は、総裁、副総裁(2名)および審議委員(6名)の計9名で構成されていますが、現在この6名の内訳は学者2名に銀行・証券・電力・財閥系の商事会社から各1名となっています。これにも60年代のはじめまでは官僚出身の野党関係者のポストがあったのですが、やはりいつの間にか学者に取って代わられたようです。

 古いことで調べにくく、正確な年代などがわからず誤解もあるかもしれませんが、権力の意思形成への過程が徐々に不透明になっていったことの、これは具体例といえると思います。今更遅いかもしれませんが、労働組合にも頑張ってもらいたいところです。


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