“書”というのはリズム感、表現力が大事。踊りと同じなんだということを感じましたよ。

日本を代表する書道家・金田石城氏の全面プロデュースによる、書とダンスが融合した新しいエンタテインメント「書ガールズ」の選考オーディションに潜入取材。
オーディション終了後に金田石城氏に選考についての感想や「書ガールズ」で掲げる今後の構想、さらには、読者に向けて“書”への取り組み方を伝授して頂いた。
<プロフィール>
書道家
金田 石城 (エイベックス所属)
全日本書道芸術院理事長/日本墨アート協会会長/ジャパン・インターネット書道学院院長
主な活動実績
映画「天と地と」(東映)タイトル/映画「椿三十郎」(東宝)タイトル/資生堂オーデコロン「錦」タイトルなど
<インタビュー>
Q.書ガールズメンバー選考オーディションの感想について
あとでプロダンサーの方々が採点したものを見るとほぼ八割が共通している。
だからやっぱり“書”というのはリズム感、表現力が大事で芸術は
共通するということを実感した審査だったね。
僕の場合は書いた字自体よりも手首を見ていて、手首の動きを見ていると
その子の才能はすぐわかる。踊りと同じなんだということを感じましたよ。
Q.今回の審査の選考基準はどんなところでしたか?
やっぱり“表現力”ですね。“書”で言えば、上手く綺麗に書けるのは当たり前。
でもそれだけじゃ人を惹き付けられないから、その子がその中で下手でも
下手なりに何を訴えようとしているのかなということ。
それを1つの基準として、その心は踊りに繋がっていくだろうという目線で
審査をしました。
Q.“書”に取り組むための心構えや上手くなるためのコツとは、
どんなものなのでしょうか?
以前に芸術家の池田満寿夫さんに「どうして書道にはお手本があるの?
どうして先生の字を書かせないといけないの?」と聞かれたことがありました。
僕は今の書道教育は、好きなように書かせて墨を遊ばせるという
心が無いように感じている。学校教育でやる書道は
大人になって本格的にするとなるとまた一から学ぶことになってしまっている。
もっと学校で「不逞」を楽しむことを教える先生が増えればいいなと思っています。
あとは、子供に自信を持たせるということも大事です。
僕からしたら、上手い字や良い字っていうのは「俺がここにいるぞ」っていう
字が一番上なんです。それは、手紙をもらった時に宛名を見なくても
あいつから来たよってわかる字。
まずは、“存在感”で、その次に、“美しい”かどうか。
三番目にあえていうなら“上手いか下手か”だね。
熊谷守一っていう画家が、「下手も絵のうち」って言ったんだよね。
下手でも良いから、自分の気持ちを正直に出した字で
好きなように素直に書きなよと。
そういうことを大人が教えていかなければ書は良くならないと思う。
今回の書ガールズは、“踊り”と“書”のコラボレーション。
つまり、音楽もそこに入ってくるというところで、
今まであることと全く違う新しい日本文化を作りたい。
特に僕は海外を意識していて、以前にカンヌ映画祭に行った際に、
向こうの俳優・女優さんの目の前で好きな言葉を書いてあげたのだけれど、
日本人よりはるかに墨に対しての興味が高いんだよね。
だから、今回の書ガールズをただのパフォーマンスとしてだけでは
終わらせたくないなぁと思っている。
それから今の若い子たちに、
「伝統文化も一つ手を加えれば現代的なものに変わるんだからもう一度書道をやりなさい」という文化にしていきたい。
Q.現在、JSDAではダンスをスポーツと同じくらいのレベルまで
一般社会に普及させていくことに取り組んでいますが、そういった意味では、“書”も現代社会ではさらに浸透させていく努力が必要であると感じています。その様な“コア”な文化を“マス”に広めていくためには、何をしていくべきでしょうか?
書道も長年そういうところで苦戦しているんですよ。
書道は絵ほど複雑ではないけれど、非常にマイナーでまず暗い。
そういう文化を広めていくためには、やっぱり日本の文化からすると
女性の力が大きいんだよね。例えば、女性はダイエットするとなるとお金も時間も使う。デパートに行っても女性の売り場の方が多いでしょ?
だから、書道もダンスも女性に向けて何か仕掛けていったらいいんじゃないかな。
あとは、ダンスで言うならば、みんなで踊ろうよっていう
大きい文化圏が出来るといいね。
日本人ってお祭り好きじゃないですか?あの考え方をダンスにもっと取り入れていって、ダンス=お祭りなんだというイメージを植えつけられるといい。
一般の人が“ダンス”って聞くとリズムが激しかったり、
俺に出来るのかなって、少し躊躇してしまうところがある。
書道もそうなんだよね。つまり、入り口を入りやすくしてあげて、
出るのは大変にしてあげるようにすると長く続くことにもなる。
そのイメージをいかにJSDAが作っていけるかということだと思うね。
