J-WAVEの顔としてバイリンガルDJの先駆けとなったクリス・ペプラー氏。
以後、さまざまなエンタテインメントのナビゲーターとして活躍してきた彼が、今度はJSDAの顔として、JSDA紹介PVのナビゲーターを担当!!
「自分を愛し、人も愛せるようになってください」
－クリスさんといえば、ラジオのDJとしてのイメージが強いのですが、DJを志したきっかけは?
もともと海外向けの広告の仕事をしていて、企業VPなどをつくっていたんです。最初は声の仕事じゃなくて、構成などをやってるライターだったんです。あるとき、「声が良さそうだからナレーションもやってみない?」と制作の人に言われて、バイト感覚ではじめたんです。当時、バイリンガル・ブームだったのもあって、声の仕事が多くなってきて、ラジオの仕事もやるようになったんです。自分のレギュラーを持って本格的にやるようになったのは、人の縁です。仲の良かった歌手の杏里が、FM東京でラジオ番組を持っていたんですが、アメリカにレコーディングに行くので１ヵ月くらい休まなければいけなくなって、そこで僕が彼女の代わりに代打をやったんです。そのときのディレクターさんが「10月からJ-WAVEという新しいラジオ局で仕事をすることになったんだけど、興味あったらやらない?」って誘ってくれたんです。
－仕事をする上で大切にしていることは?
集中力かな。どの仕事でもそうだと思いますけどね。声に関しては、あまり気を使っていなくて、あえて喉を大事にするということはしていないですね。自分が魅力的だなと思うのは、美しい声というよりも、ちょっと癖のある声が好きなので、多少、声の調子が悪くても良いと思うんです。レギューラの番組で、声のトーンがいつもとちがったりしたら、聴いてる人は「体調悪いのかな?」とか思ったりするじゃないですか。そういうのも面白いかなと。
－今回、JSDAの紹介PVのナビゲーターを担当されましたが、クリスさん自身のダンスの経験は?
ちゃんと習ったことはないですね。クラブに行って踊るぐらいの感じ。でも、ダンス・ミュージックというか音楽全般は好きで、いろいろ聴きますよ。アンダーワールドやケミカル・ブラザーズなど好きですね。
－さまざまなエンタテインメントにかかわってきたクリスさんですが、クリスさんから見て、ダンスの魅力とは?
感情を表現するために、ダンスっていうのは一番先にあった方法じゃないかな。物を叩く／踊るっていうのはプリミティヴで、アーティスティックなエンタテインメント表現としては、根幹にあるものだと思います。だから、見る人にもそういうエネルギーが伝わりやすいと思うんです。最近、特に思うんですけど、韓国のダンサーってすごいなって。熱というかそれ以上の炎のような生命力／躍動感を感じるんですよ。日本人はどちらからというとクールな感じの人が多い気がするんですよね。
－記憶に残っているダンサーなどはいますか?
ダンサーではないかもしれないれど、タップの熊谷和徳さんはすごいと思います。タップってある意味、ダンスだし、打楽器でもありますよね。だからかな。彼の自分のアートを常に高めようとしている姿勢にひかれます。
－今回、JSDAのPV制作に参加されて、JSDAのことを理解していただいたと思いますが、この団体についての率直な意見を聞かせてください。
日本は検定や資格が大好きだと思うので、ダンスにあってもおかしくないと思います。自分の中で極めていく部分が大きいとは思うんですが、それが独りよがりにならないような、外部からの評価／客観的な意見っていうのが必要だと思います。ダンス検定の意義はそこにあると思います。
－日本のダンス・シーンについてどう思いますか?
踊りの上手い子は多いし、小さいころから始めている人も多くて、素晴らしいことだと思います。踊りって若ければ若いほど入りやすいと思うんです。さっきも言いましたが原始的というか、人間であれば踊りたい、という欲求があると思うんです。赤ちゃんだって喜ぶと踊るわけです。あれは一種の舞ですからね（笑）。楽器を弾いている人も、本当に上手い人はやっぱり舞っていますね。突っ立って演奏しているだけでなく、舞いながら演奏して、体全体で表現しています。
－エンタテインメントの現場で活躍する先輩として、今、エンターテイナーを目指している人たちへのアドバイスをお願いします。
スキルを高めるのもすごく大事だけど、それ以上に人間性が大事になってくると思うんです。極めれば極めるほど、その人の人間性が、ダンスやそのほかのエンタテインメントに如実に出てくるんですよ。利己主義的に、自分のことしか考えてない人ではなく、周りの人に愛情を持った人間じゃないとエンターテイナーになれないんじゃないかな。自分を愛し、人も愛せるようになってください。
FMラジオ局J-WAVEが1988年に開局すると同時に、ナビゲーターとして抜擢され、以降 21年間に渡り「TOKIO HOT 100」のDJを務めている。日本のミュージックマスターとして知られ、音楽、映画やスポーツなどエンターテイメントを中心にTV番組、CM出演、ドラマ出演、ビッグセレブの来日記者会見やインタビュー、イベントMCなど幅広く活躍中。