ここ最近のK-POPブームは日本のダンス界にも大きなインパクトを与えている。そんな目覚ましい活躍を続ける韓国アーティスト達の振付けを多く手掛けている沖縄出身の女性ダンサーがいる。米国L.A.を拠点に、自身もジャネット•ジャクソン、ブリトニー・スピアーズ等のバックダンサーを務めるなどトップダンサーとしてワールドワイドに活動中だ。マルチな才能に美貌も兼ね備えたダンサー“仲宗根梨乃”の素顔に迫る———。




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仲宗根梨乃(ナカソネ・リノ)
19歳で渡米後、その実力を認められ、ブリトニー・ スピアーズ、ジャネット・ジャクソンをはじめとする様々なアーティストのツアーに参加。 また、女性ダンスグループBeat FreaksのメンバーとしてL.A.を拠点に活動し、「MTV's America's Best Dance Crew (Season 3)」にて脚光を浴びる。 2005年度より、グウェン・ステファニー率いる 原宿ガールズ(役名”MUSIC”)として活躍。同時に、韓国では少女時代をはじめとする様々なアーティストの振付を担当。現在は、ロサンゼルスを拠点に世界各国で活動し、2011年より本格的に母国日本へと活動の場を広げる。振付師 /ダンサー/モデルとマルチタレント として活躍中。





2010年は、日本の音楽業界に“K-POP”という存在の大きさが確かに認知されていった年だった。空前の女性アイドルグループのブームがきっかけとなり、KARAや少女時代を筆頭に多くの韓国アーティストの名前が日本のリスナーに浸透していった。これら人気K-POPアーティスト達、BoA、少女時代、東方神起、そしてSHINeeのいくつかの楽曲の振付けを手掛けている日本人女性ダンサーがいる。彼女の名前は仲宗根梨乃。沖縄出身で現在はアメリカを拠点にダンサー/コリオグラファーとして数々のVIPアーティストとの共演を果たし、L.A.、ソウル、そして東京と世界を股にかけた活動をしている。彼女もまた、子供の頃に影響を受けたのは、マイケル・ジャクソンだったという。


「とにかく子供の頃はエンタテイナーになると自然に思っていたんですね。いつかポンキッキーに出たいと思っていました(笑) エンタテインメントが好きで、それからマイケルのファンになって、いつしかアメリカのエンタテイナーになることが目標になりました。マイケル•ジャクソンの影響はかなり大きいです。マイケルが私の人生を変えましたね。マイケルが素晴らしいのは、いろんなジャンルをやるじゃないですか、Jazz、Hip-hop、Rock…。マイケルの音楽、ダンスのジャンルが広かったおかげで全部が好きになりました。スタイル的に凄く広がりましたね」


彼女は続けてマイケル以外に影響を受けたダンサーとして、ジャネット•ジャクソンの振付け師である、アンソニー•トーマス、ティナ•ランドン、さらには、マイケルの“今夜はビート・イット”や“スリラー”の振付け師として日本でも馴染みのあるマイケル・ピータースを挙げてくれた。
現在はインターネットが世界中に普及していてYouTubeなどで簡単にアーティストやダンサーの情報・映像が入るが、仲宗根の10代の若い頃、まだパソコンも今ほど一般的ではなかった時代に彼女は海外の情報をどうやって調べていたのだろうか。


 「やっぱりビデオでしたね。メイキングやインタビューが出るじゃないですか。そこで名前をチェックしたりして。リハーサル最中の映像とか裏場面とか大好きなんです。そういうのを見て一人でわくわくしていました。今はYouTubeなどがあってすごい時代ですよね。YouTubeから仕事が来ますから(笑) 」



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 仲宗根の友人で、同じくマイケルに影響を受けてダンスを始めたというKento Moriもそうであったように、彼女もまた元々プロダンサーを目指していた訳ではなかった。興味があるからやってみよう、オーディションがあるから行ってみよう、先生に言われたからやってみようと、そんなことを繰り返しているうちに自然と道が広がってきたという。そんな彼女に「プロダンサーとして働いていると思った瞬間はどんな時?」と質問をすると「あまり良い答えじゃないけど、嫌な仕事をやっている時(笑)そういう時にこれは仕事なんだからけじめを付けてやろうって」と彼女らしい素直な答えが返ってきた。
特に目標も持たずに、ただダンスが好きで何でも興味を持ってやっていくうちにプロダンサーになっていた———仲宗根が実際にプロダンサーになった今の立場から、何がプロになるためには大切だと感じているのかと尋ねてみた。


「大切なのはある程度のルールとダンスやエンタテインメントが好きっていう気持ちが伝わること。私は自分のダンスを上手いとは思っていなくて、バレエの基礎もJazzの基礎もないのに、でもオーディションに受かったのは、それ以外の何かがあるということ。相手に自分のパッションが伝わったと思う」


10代の頃に日本のダンス業界を知ることもなく、アメリカのエンタテインメントに近づきたいという一心で渡米。その後は、前述どおり、韓国で東方神起や少女時代といったアーティストの振付けも行うようになる。日本、アメリカ、韓国と渡り歩き世界を知る仲宗根の目から見て、日本のダンスシーンは大変興味深いという。


「日本サイコー! 特に日本の子供たちはヤバいですね。友達から話を聞いてYouTubeで見たりすると、大人より凄いじゃないですか!! マイケルが亡くなっても子供のファンが増えているし、ヒップホップ界は日本が凄いと思うんですよ。そういうところで日本のFutureいいねって。アメリカ人も日本がどれだけ凄いか知っていますよ。ダンスの練習にかける姿勢、訓練の仕方が日本のダンサーってハンパじゃないですね。みんな相手に対して敬意をちゃんと払うので、日本のダンサーって凄いよねとアメリカ人の中では話されています。実際、日本人のダンサーは海外でもよくキャスティングされていますし」


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世界で活躍するトップダンサーから今後の日本のダンスの未来は明るいと聞かされると、なんだか悪い気はしない。一年のほとんどを海外で過ごす仲宗根にとってはあまり馴染みがないかもしれないが、僕らが全身全霊で取り組んでいるJSDA検定にも同じくらい明るい希望
を感じたような気がした。彼女に少し検定についての話しをしてみた。


 「資格になるなんてすごいですね(笑)どこの国にもないんじゃないですか? 今の日本ってコネクションで出来る仕事が多いので、いろいろな方にチャンスが増えて良いと思います。才能はあるのにコネクションがないダンサーの卵も多いと思うので」


 最後にこのインタビューを締めくくる質問として彼女の今後の夢と、ダンスを愛する子供たちへのアドバイスを尋ねてみた。


 「今後の夢は、エンタテインメントの分野でダンス以外にやっていけることがあればやっていきたいし、育成も好きになってきました。韓国でいろいろな振り付けをさせて頂いて、若い子を教えていく中で成長を見ていてやりがいがあったので興味がありますね。あとは、自分を通して勇気を与えられるのは嬉しいので、ちょっとでもお役に立てればとも思う。マイケルの素晴らしさを伝えるとかね(笑)私からのアドバイスは、“常に自分の声を忘れるな”ですね。まわりの声とか尊敬する人たちの声もむしろ大切ですが、自分の声を信じてやりたいことをやっていけば良いと思います」



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interview: Yuki Tanno (avex planning&development)
photography: Takashi Shimobaba
text: Daisuke Yuzuka, Yukie Matsuo