花束を君に…。
調査本部より、○×会社営業部課長である「山田太郎」なる者の素行調査を目的とした行動確認をせよとの指示を受けた。その人物の顔写真は無い。
『対象者の顔写真…』調査に最低限必要な情報である。顔写真が無ければ素行・行動調査は出来ない。本調査に入る前に先ず、事前調査として「山田太郎」を特定する必要があった。
私の相棒である元々飲み屋のママさんであったS子調査士と調査を実施しなければならなかった。
さあ、どうやって山田太郎を特定し、顔写真を撮ろうかと2人で知恵を絞りに絞った。その結果、花キューピット作戦を決行することにした。これは、S子調査士が花屋の配達員に成り済まして、男であれば、大抵の者がスナックに行くだろうということを前提に適当なスナックの店名で簡単なメッセージを花束に添えて、会社で勤める「山田太郎」を呼び出し接触する作戦だ。
この作戦は、必ず、「山田太郎」本人にこちらで準備した花束を手渡ししなければ、人物の特定に至らず、全く作戦の意味がないのだ。
S子調査士は、作戦を決行しようと決めた瞬間には、直ぐに最寄の花屋に車を動かしていた。
それと同時に「山田太郎」の勤務先に電話を入れていた。完全に花屋の配達員に成りきり、山田太郎と既にアポを取っているではないか!『機転が利いて冷静且つ敏速に動く』これが『プロの調査士』だ。
夕刻、指定の場所に現れた1台のステーションワゴン車、そこから周囲をキョロキョロしている40代の男性の姿が確認出来た。
私は「山田太郎に間違いない。」と確信し、直ぐにカメラのシャッターを押した。
近くに立っていたS子調査員も花束を持って山田太郎に近づいていく。
私が山田太郎の写真を撮影しやすいアングルでS調査員は山田太郎とうまく話をしている。
S子調査員も容姿端麗な為、「山田太郎」は鼻の下を伸ばして目じりが下がっているのがファインダー越しに判った。
その後の素行調査が順調に進み、全ての調査が順調に進んだのは言うまでもない。
調査員の間では、S子調査員を『キューピットさん。』と隠語で呼ばれている。
ブログに載せてごめんなさい。 K調査員より