Requiem aeternam -永遠の安息を-

Requiem aeternam -永遠の安息を-

レクイエムー死者のためのミサ曲を通して考える生と死について、つれずれなく書いていきたいと思います。

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 「モーツァルトのレクイエムで一番何がいい?」と音楽ど素人の友人に聞かれて、私は困ってしまった。レクイエムはもっとも好きな音楽。レクイエムの中でも最高に好きなモーツアルトのレクイエム。それなのに返答に困ったのは、モーツァルトのレクイエムが特異な性質を持っているからだ。

 一つは版の問題がある。もっともメジャーなジュスマイヤー補筆完成版、ジュスマイヤーの音楽的誤りを修正したバイヤー版、ジュスマイヤーを完全に否定して補筆箇所を完全に削除した(音楽的に途中で切れてたりする)モーンダー版などなど、月日と共に研究が進むだけ版が増えているのである。1番好きなCDをあげるということは、1番好きな版はどれか、ということも同時に決めなければならない。

 もう一つは演奏形態の問題である。オリジナル楽器で演奏するか、モダン楽器ではあるが古楽奏法
で演奏するか、完全にモダン奏法で演奏するかということである。モーツァルトともなると近年は古楽奏法を無視しては演奏できない。ここまで古楽の研究が進んでしまっては、モダン演奏を踏襲するならそれなりの意味合いが必要となる。また古楽演奏が主流ではなかった80年代以前の録音にも、深い宗教性に溢れた名演が数多く残されている。それらを現代の古楽奏法を土台とした演奏形態と同じ土台で比較していいのか、悩むところだ。

 以上のような理由から、私は大好きなモーツァルトのレクイエムを、大好きだからこそ1番を選べないジレンマに立たされたのである。しかし、これまでクラシックを聴いたことのない友人が私に、しかもモーツァルトのレクイエムに興味を持とうとしてくれている、という事態に私は心から応えたいと思う。そこでクラシックは有名どころくらいなら知っているがレクイエムなどほとんど聞いたことがない、という私の友人に紹介するならばどの録音を勧めるか、という前提にたち、「一番いいと思うCD」の選定を進めることとしたい。