メシアの読書感想 斎藤智裕(水嶋ヒロ)【KAGEROU】 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~
- KAGEROU/齋藤 智裕
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- 私はこの作品を読む前、アマゾンの☆ひとつレビューをひととおり読みました。すると出てくるわ出てくるわ、洪水のような罵詈雑言レビューの数々。ちなみに☆ひとつ評価が圧倒的に多かったです。
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しかし、そうしたレビューを読めば読むほど、『どうやら水嶋ヒロの処女作【KAGEROU】はすごい傑作のようだな』と期待感がふくらんでいきました。
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なぜなら山田悠介の前例があるからです。
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私は山田悠介を、ヤフー知恵袋の罵詈雑言コメントの数々ではじめて知りました。そしてどんなろくでもない小説を書くのだろうかと冷やかし気分で読んだのですが、これがまた文章も内容も【最高】の一言でした。
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全作品を読破したいと思った作家は、森村誠一、島田荘司、石田衣良に続き、山田悠介で4人目です。
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というわけで、世間のアホどもの酷評などまったく当てにならないことを知っているのです。(世間のアホどもの絶賛がまったく当てにならないケースも多々ありますが……)
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そして本作を読んだのですが、私の期待はまったく裏切られることはありませんでした。
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文章はすこぶる読みやすくわかりやすく、それでいてライトノベルのような安っぽさがありません。そして随所に出てくるレトリックの数々。
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もしもレトリックがへたくそだったら世間がいうようにうざいと感じるでしょうが、どのレトリックもとてもうまいので感心しました。
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ストーリーも短めの作品にもかかわらず、読者の度肝を抜く仕掛けがいくつか用意されています。とにかく残りページ数をまったく気にせず次々と読み進めることができます。
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また、命をテーマにしている小説にしては主人公のキャラが軽いという批判がありますが、真面目で寡黙なステレオタイプのキャラではおもしろくないので差別化をはかっただけでしょう。私はヤスオのひょうひょうとしながらも、アカネとの出会いなどによって命の尊さに気づいていく姿に共感を覚えましたが。
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状況的な面から、ポプラ社大賞受賞はたしかに出来レースだとは思います。しかし、そうした黒い噂を吹き飛ばすほどの内容です。
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小説をあまり読まない人も、読書家の人も、子供たちも、誰もが楽しく読めて感動できる作品です。
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こんな良書をけなす人たちというのは、水嶋ヒロというパーフェクト超人の存在を否定しないと精神のバランスを保てないかわいそうな人なのでしょうね。
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6段階評価(論外←いまいち←普通→いい→すごくいい→神)
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ストーリー━━いい
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人物描写━━普通
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心理描写━━普通
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風景描写━━神
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読みやすさ━━神
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構成力━━すごくいい
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満足感━━いい
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