メシアの読書感想 百田尚樹【永遠の0】 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~
- 永遠の0 (講談社文庫)/百田 尚樹
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- ヤフー知恵袋で【感動する小説】と検索して、おそらく最も多く目にしたタイトルであろう【永遠の0】━━のちの調べで【永遠の0】は530万部を売り上げた作品であることを知りました。
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シリーズ累計500万部以上というのはよく聞きますが、1冊の小説で500万部売り上げたという話はまず聞きません。
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いったいどれほどの作品なのだろうか?━━私の期待と興奮は最高潮をむかえることとなりました。
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そして読み終えた感想なのですが、まさしく、【歴史に残る1冊】としかいいようがありませんでした。1冊で530万部というのも、この内容なら納得です。
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ストーリーは、ある冴えない青年がライターの姉とともに、自分たちの祖父・宮部久蔵のルーツを調べるというところからはじまります。あとは最後まで宮部の戦友たちの思い出話という構成です。
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約600ページの大作で、起承転結のほとんどのないストーリーではあるのですが、ページをめくるのがまったく苦にならず、あっという間の600ページでした。
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それまでの人生ではじめて目にするような戦争用語が厖大に出てきますが、誰にでも理解できるように書かれています。
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また、この作品の最大のウリは、嫌われ役・憎まれ役を演じてでも日本を勝利に導き、部下たちの命を守ろうとする主人公・宮部の思想や生き方なのですが、宮部のパイロットとしての超凡な実力が事細かに明瞭に描かれているところも魅力です。映像が脳裏にくっきりと浮かんでくるようでした。
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これほどの文才を持つ作家は、ほかにほとんど知りません。私の文学の師匠・飯田譲治といい勝負かもしれません。また、意外なオチも用意されており、エンターテイメント小説としても充分楽しめます。
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ところで、『浅田次郎の【壬生義士伝】のパクリではないか!』という非難の声があるようなのですが、【壬生義士伝】を参考にしているのは主人公の関係者が話を語るという部分だけで、舞台設定も、ストーリーも、登場人物も、すべてまったく異なります。これはパクリではなく百田尚樹自身もいっているようにれっきとした【オマージュ】です。私が浅田次郎の立場だったら『自分に憧れているようだな』と喜びこそすれ、不愉快になどなりようのない内容です。
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ただ、ひとつだけ。世間では号泣を誘う小説といわれていますが、それはあくまで普段あまり読書をしない人限定でしょう。舌がこえている読書家は深い感慨に襲われど、ひねりのない美談ばかりなので号泣するようなことはないと思います。
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しかし、それでも日本文学界の至宝というべき作品であり、未来永劫にわたって読み継がれていくことはまちがいないでしょう。
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- 6段階評価(論外←いまいち←普通→いい→すごくいい→神)
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ストーリー━━いい
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人物描写━━いい
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心理描写━━いい
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風景描写━━すごくいい
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読みやすさ━━神
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構成力━━いい
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満足感━━いい
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