メシアの読書感想 石田衣良【美丘】 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

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混迷をくり返す世界を救うべく、ひとりでも多くの日本人が現代に生を受けた意味に気づかなければなりません。世界を救うのはあなたの覚醒にかかっているのです……。

美丘 (角川文庫)/石田 衣良
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 難病のヒロインが家族、恋人、仲間たちに見守られながら亡くなる━━こんなありふれたストーリーに、まさかここまで感動させられるとは思っていませんでした。
 
 
 アマゾンのレビューに『オチが読めたのでつまらなかった』という間の抜けたことを書いている人がいましたが、石田衣良は前半の時点で『美丘は最終的に病気で死にますよ』と間接的にオチを明かしています。前半でオチを明かしても泣かせられる自信があったのでしょう。そして私はオチがわかっていても泣いてしまいました。
 
 
 私がセンチメンタルなだけなのかもしれませんが、すべては石田衣良の文章力とストーリーテリングの超凡さゆえです。
 
 
 ところでヒロインの美丘は、この手の小説にありがちなプラトニックなタイプではなく、プラトニックとは真逆の女性です。そして随所に濡れ場やシモトークが出てきます。
 
 
 しかし、まったく不快にはなりません。主人公が奥手で朴訥とした青年だからというのもあるかもしれませんが、これも石田衣良のオンリーワンの才能なのだと思います。
 
 
 また、普通の人の主人公がエキセントリックなもうひとりの主人公を語るというスタイルの小説は数多くありますが、私が知る限り、この【美丘】こそがナンバーワンです。他の恋愛小説にはぜったいに出てこない強烈なキャラを誇る美丘の存在が、なにもかもを凌駕してしまいます。
 
 
 しかし、それでもありきたりなストーリーの【美丘】に感動できない人というのはいると思います。しかし、ありきたりでいいのです。アマゾンのレビューでいいことをいう人がいました。
 
 
 「これからも似たような物語は洪水のように書かれるだろう。しかし、作家それぞれの持ち味を楽しめばいいのだ」
 
 
 まさにそのとおりだと思います。
 
 
 余談ですが、この【美丘】は吉高由里子主演でドラマ化されたそうです。私はそのドラマを観ていませんが、大人っぽい美人である吉高由里子は明らかにミスキャストだと思います。
 
 
 そこで、もしも再び【美丘】を映像化する機会があったなら、私は美丘役に乃木坂の生駒ちゃんを推薦したいです。ただ、乃木坂の清楚なイメージを崩せないので、卑猥なシーンやセリフは削らざるをえませんが。
 
 
 また、女性陣のキャストを乃木坂でかためるなら、麻理が白石麻衣、直美が秋元真夏あたりでしょうか。
 
 
6段階評価(論外←いまいち←普通→いい→すごくいい→神)
 
 ストーリー━━神
 
 人物描写━━すごくいい
 
 心理描写━━いい
 
 風景描写━━すごくいい
 
 読みやすさ━━すごくいい
 
 構成力━━神
 
 満足感━━すごくいい
 
 
 
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