とにかく走り続ける男がいる━━噂が噂を呼び、町中から野次馬が集まった。その人数、軽く5000人はいるか。
人々は物珍しそうに、怪訝そうに走る男を眺め続けた。もちろん、次のような会話もかわされた。
「あの人はいつ休んでいるんだ?」
「飯は食ってるのか?」
「水分はとっているのか?」
「つーか、走る目的はなんなんだ!?」
しかし、答えは誰にもわからず、人々は走る男をタバコを吸いながら、酒を飲みながら、組体操をしながら、ジャグリングをしながら、いつまでも眺め続けるしかすべはなかった。