短編小説【マラソンの神】 第1話【汗だくの少年】 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

混迷をくり返す世界を救うべく、ひとりでも多くの日本人が現代に生を受けた意味に気づかなければなりません。世界を救うのはあなたの覚醒にかかっているのです……。

 半そで半ズボン姿の少年は夏の日差しの下を懸命に走っていた。

 

 
 少年の名は野上俊作。小学6年生のいたって普通の少年なのだが、唯一といっていいほどほかの少年たちとちがう点があった。それは━━

 

           
 自転車に乗ることができない

 

 
 ━━という点である。

 

 
 走り続ける俊作の前方には、ジュース片手に自転車に乗って走る友達たちがいた。俊作は彼らと遠くの公園に向かっているのだが、自転車に乗ることができない俊作だけ毎回自分の足で走って目的地に向かうことになっていた。

 

 
 ハァ、ハァ、ハァ━━激しく息をきらしながら炎天下を走り続ける俊作。そんな彼を気遣って、ひとりかふたり自転車を超ゆっくり走らせる友達もいた。俊作にはとてもありがたい存在だったのだが、肉体的な疲労と足の痛みはどうにもならなかった。

 

 
 しばらくして目的地の公園にたどり着いた俊作。公園ではすでに友達たちがサッカーをやったり、釣りをしたり、菓子パンをむさぼったりして楽しそうにしていた。それにひきかえ俊作ただひとりTシャツを汗でびしょびしょに濡らし、ぜえぜえとあえぎながら公園内のベンチにふらふらと腰をかけることしかできなかった……。

 

 

 

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