下ヨシ子の説
ほとんどの人は、あの世での修行のいずれかの段階で、神様から生まれ変わりを命じられます。
……人数にすると100万人に1人いるかいないか程度ですが、生まれ変わらなくてもよい人もいます。それは仏界まで境涯の達した人です。その人の魂は完璧なものですから、もう修行をする必要がないのです。
残りの人は、地獄界から菩薩界までのいずれかの段階で、神様から生まれ変わりを命じられます。「生まれ変わって修行し直してこい」というわけです。その際、魂がどの世界にいるかで、来世はまるで違ってきます。つまり、高い世界にいた人ほど幸せな人生となり、低い世界にいた人ほど悲惨な人生になる、ということです。
たとえば、菩薩界から転生した場合は、生まれながらに施しの心をもった人間となるので、なんでも人に与えてしまい、はたから見ると「お人よし」「損ばかりしている人」と見えるかもしれません。しかし、その人の心は満たされており、同時に利他という徳を積んでいるのです。当然、境涯は高まっていきますから、死後の修行も高い世界からとなり、来々世はより充実した一生になります。よい循環で転生しつづけ、やがては仏界に達します。
逆に、人界より低い世界で生まれ変わると、人並み以下の人生を送ることになります。特に三悪道にいた段階で転生した場合、生まれながらに罪を背負った苦しい一生になります。さらに罪を重ねたあげく、未成仏霊になったり、死後に地獄の苦しみが増したりする悪循環に陥りがちです。
メシアの論証
現在、“人並み以下の人生をおくっている人”は世界に数十億人はいると思われる。1日1ドル未満の極貧生活をおくっている人、奴隷の人、マフィアなどにさらわれて売春をさせられている人などなど……。下先生によると彼らは三悪道というところで転生した人たちであり、死後も地獄の苦しみを味わうことになるという。
が、しかし、だ。もしも世界に数十億人いるそうした人たちが、ある日突然ひとり残らず全員、人並みの人生をおくれるようになったとしたらどうなるのだろうか?下先生によると人間とは高い世界にいた人と低い世界にいた人とにはっきり分けられ、低い世界にいた人たちは一生不幸な日々が続くという。しかし、もしもそうした人たちがある日突然、幸福な人生をおくれるようになったとしたらどうなるのだろうか?
きっと下先生は『そんなこと現実に起きるわけがない』といったことを前提にして前述の説を口にしたと思われるが、これから起きるアセンションによって世界に何十億人もいる“人並み以下の人生をおくっている人たち”がひとり残らず全員、人並みの幸福な人生をおくれるようになるのだ。その暁に下先生の説が大嘘であることが証明されることだろう……。
そもそも本当に神様がいるのなら、人類ひとりひとりに幸福な人生をプレゼントするはずである。『生まれ変わって修行してこい』などとはいわないだろう。
だいいち修行というのは具体的にどういうものをいうのだ?いつ、どこで、なにをすれば修行を積んだことになり、なにがどうなれば修行を達成したことになるのだ?下先生にはそのあたりのことをもう少し詳しく教えてもらいたいものである。