メシア的感動のアンビリバボー傑作選  絶望の町を救った奇跡の猫 第8話 | メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

メシアのモノローグ~集え!ワールド・ルネッサンスの光の使徒たち~

混迷をくり返す世界を救うべく、ひとりでも多くの日本人が現代に生を受けた意味に気づかなければなりません。世界を救うのはあなたの覚醒にかかっているのです……。

 とあるニュース番組でのこと。女性キャスターの明るい声が聞こえてくる。

 

 
 『アイオワ州スペンサーで有名なものはふたつあります。ひとつ目はクレイ群フェアで毎年30万人が参加します。そしてふたつ目が猫のデューイです!』

 

 
 なんとデューイのことがテレビや全国紙でとりあげられ、地元アイオワはもとよりほかの州からもデューイに会いたいという人が殺到した。

 

 
 当時を振り返ってとある男性はいう。

 

 
 「旅行中に隣の席に座った人にアイオワからきたといったら、『デューイという図書館猫がいるところね』といわれたんです。ビンゴってね。故郷が知れ渡ってとても嬉しかったですよ」

 

 
 また、とある女性はいう。

 

 
 「当時はしょっちゅう会うために図書館に通ったわ。特にいやなことがあった日にデューイに会いに行くと元気になったの」

 

 
 いつしかスペンサー図書館の利用者は年間4万人にも増えていた。しかし有名になるにつれ、新たな問題も発生した……。

 

 
 ある日のこと。ヴィッキーのもとにひとりの女性がやってきて突然このようなをいい出した。

 

 
 「館長、実はデューイを返却ボックスに投げ込んだのは私です!」

 

 
 が、またちがう女性があらわれてこういい出した。

 

 
 「恥ずかしながら私、ついついこちらの返却ボックスに預けてしまいまして……」

 

 
 有名になった途端、デューイの元飼い主と名乗る人が11人もあらわれたのである。無論、ヴィッキーは誰ひとりとして相手にしなかった。

 

 
 その後もデューイは周りに変化を起こし続けた。

 

 
 図書館で毎日ひとりで母の帰りを待つ少年がいたのだが、ある日の昼、突然少年の母が図書館にあらわれたのだ。

 

 
 母は息子に笑顔でいう。

 

 
 「今日は早く終わったのよ」

 

 
 そんな母に少年はデューイを紹介する。

 

 
 「ママ、これが話していたデューイだよ」

 

 
 「かわいいわね」母はデューイの頭をやさしく撫で、微笑みながらお礼をいった。「デューイ、ありがとうね」

 

 
 しばらくしてこの親子は新たな職を見つけ、ほかの地に旅立っていったという。

 

 
 ━━家に帰宅したヴィッキー。

 

 
 「ただいま」

 

 
 そんな彼女に娘のジョディがさっそく話しかける。

 

 
 「ママ、デューイは元気?今日はどうだったの?」

 

 
 デューイのおかげで娘との会話が戻ってきた。

 

 
 デューイを軸に人々の心が明らかに変わろうとしていたスペンサーの町。すべてが順調に進んでいるかに思われたのだが……。      

 

 

 

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