━━むかえた8月18日、ジョ一家はとある人物を待っていた。その人物こそマーチン夫妻にセイシちゃんの無事を代わりに伝えるよう頼まれたゴ・ガクホウである。
そしてゴ・ガクホウが部屋に入ってきた瞬間からジョ夫人は号泣をした。
「セイシちゃんは元気ですよ!」ゴ・ガクホウは笑顔を浮かべてジョ夫妻にいった。そしてセイシちゃんの姉を一瞥する。「写真のセイシちゃんによく似ているわ!」
その後、ジョ夫妻は養父母のマーチン夫妻からの手紙によってセイシちゃんの近況を知ることになる。以下、マーチン夫からの手紙。
1996年8月にセイシちゃんを養子としてもらいました。ふたりの息子ともとても仲良くやっています。先日も家族でキャンプに行ってきました。
そのほかにも学校の成績がいいことや編み物などの趣味があることなど、セイシちゃんの現在の様子が事細かくつづられていたという。手紙は続く。
彼女が大人になったらあなたたちの手紙を見せ、真実を話すつもりです。そのときまですべてをお任せください。家族全員がセイシちゃんを愛しています。
セイシちゃんの実の父ジョ・レイタツはいう。
「あの娘がどこにいるかということより、とにかく生きていることがわかって夢のようでした。育ててくれたご夫妻や多くの方々へ感謝の気持ちでいっぱいです」
母もいう。
「写真を見ると、白くぽっちゃりしていたセイシの姿を思い出します。今も元気で本当に良かった。全身の力が抜けるほど安心しました」
タイディレクターはいう。
「ご両親の行為は許されるものではありません。でも親が子供を捨てるまでには、想像もできない葛藤があったはずです。彼らの重荷が少しでも軽くなったらがんばったかいがありました」
そして、物語の中心人物ハンキャスターはいう。
「当初は探し出せる自信なんてありませんでした。でも想像以上に多くの人々が協力してくれて、世の中まだまだ捨てたもんじゃないなって思いました」
……現在、ジョ一家はセイシちゃんの写真を大切に飾りながら生活をおくっているという。ジョ・レイタツはいう。
「別れてから20年後の七夕の日、今度こそ会えるようにと願っています。会った瞬間、泣いてしまうかもしれませんね」
一方、長女のギョウシンちゃんは英語の勉強に熱を入れているのだという。
「妹に会いにアメリカに行ってみたいです。英語しか話せない妹と両親との通訳をしてあげたいです」
最後に━━ジョ・レイタツがセイシちゃんに書いた手紙。
セイシちゃん、今日はあなたの11回目の誕生日です。それなのにプレゼントも贈れず、なにもしてあげられないことをお許しください。
そちらのご両親にも私たちからはなにひとつ恩返しができませんが、どうか育ててくれたご両親をいつまでも大切に喜ばせてあげてください。
私たちは毎晩、星に願っています。9年後、あなたが立派になったときにきれいな湖に架かる橋に案内できますようにと。
再会のときは2016年。そのときこそ、橋と七夕の伝説が夢をかなえてくれることだろう━━。
七夕~10年目の約束~ 終わり