プリプリの≪世界でいちばん熱い夏≫と明治エッセルスーパーカップの抹茶味が手離せない季節━━といえば、いうまでもなく夏

今から書く話は数年前のとある夏の日に起きたことだ。
私がパンツいっちょの姿でメシア家にいたとき、ドアをノックする音が聞こえた。しかしパンツいっちょ姿で客の前に出るわけにいかないので、ドアは風通しのために少しだけ開けてはいたものの居留守でやりすごすことにした。
しかし次の瞬間である。ノックをした客が私の存在をかすかに感じとったのか、半ば強引に少しだけ開けられていたドアを開いてメシア家の玄関に入ってきたのだ。
入ってきた客はふたりの男性たちで、私がなにか言葉を発しようとする前にひとりの男性が『自分たちは新聞屋です』と自己紹介をおこなった。
新聞屋のふたりの男性たち━━自己紹介をおこなったほうがやけに真面目で真剣なまなざしの人で、その人に連れてこられた感じのもうひとりの青年がかなり追い詰められたような深刻な表情、衰弱した雰囲気を漂わせた人だった。
そして自己紹介をおこなった人がその青年について早口で説明をしはじめた。その間、彼らは私の姿がパンツいっちょであることは眼中にないという感じであった。
しかしすでに新聞をとっている私はほかの新聞などとるつもりはないので、衰弱した青年についての説明を続ける男性にこういった。
「……あ、あのぉ、いろいろ難しい人生をおくってきたみたいですが、これからアセンションが起きますので、人生に対してなにも不安を抱く必要はないんですよ」
私の言葉を理解できたかどうかはわからなかったが、私に新聞をとる気がさらさらないらしいことを感じ取った新聞屋さんたちはメシア家をあとにしていった。
彼らが今どこでどのような人生をおくっているかわからない。また、彼らのような人生の路頭に迷っている人は世界中に星の数ほどいることだろう。彼らにとってはパンツいっちょ姿で客の前に出る行為などどうだってよく、とにかく1日1日が生きるか死ぬかの激闘なのだ。
しかし本当に安心してくれ。究極の大奇跡アセンションはついに来年に本当に起きるのだから……。
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