35歳 男性 会社員(Aさん)からの相談内容
私には付き合って1年半になる恋人がいます。彼女ははじめて結婚を意識した女性です。
今年、その彼女が30歳になったこともあり、先日ついにプロポーズしました。しかしそのあと、予想もしていなかった事実を告白されました。
なんと彼女はバツイチで、4歳になる息子がいるそうなんです。一瞬、頭が真っ白になりました。そして『なぜ今まで黙っていたのか?』と聞くと━━『あなたのことが好きで、きらわれるのが怖かったの……』━━というのです。
彼女のことはもちろん大好きなので、とっさにその場では『それでも結婚しよう』といいました。
でも、冷静になって考えると、どうしても隠されていたことがひっかかってしかたありません。
正直、みなさんにこんなことを聞いてもしかたないかもしれませんが、心が悶々とし筆をとりました。
彼女のとった行為はズルくないですか?
ゲストタレントの言葉①
彼女の気持ちはすごくわかるんです。
子供がいることを知らない状態で付き合いました。でも、そのことは『いわなくていいや。別れるかもしれないし』といった感じ。けど付き合っていくうちにどんどん真剣になっていき、どんどんいえなくなってくるんですよね。
ゲストタレントの言葉②
何歩かゆずってバツイチはしかたがない。でも子供はひとつの人格なんだから、それを隠すっていうのはどういうことなんだってことです。
東大卒和尚・小池龍之介の言葉
これは関係性の問題です。
彼女が個別に実態として、その人自身が悪い、ズルイというふうにその方は感じているかもしれませんが、彼に寛容性がないと彼女が感じていたらいえなくなると思うんです。
『ズルいだろ!』といういい方もあると思いますが、『僕だからいえなかったんだね』という自分への気づきがあればいいと思います。
質問
でも、最初にいうべきじゃないですか?付き合いはじめたとき。
よりそっちのほうがいいのが事実ですが、ご本人もはじめの頃は相手に知られたくないことを隠していたと思います。
たとえば、そんなに人の話を聞かない人間のくせに、最初の頃は彼女の話に『うん、よくわかる!』といってみたり、彼もある意味演技をしたりごまかしたりしているわけです。隠し事のレベルはちがうといっても、ズルいと一方的に感情的になるのは自分を苦しめるだけだと思います。
癒し系僧侶・川村妙慶の言葉
『君はズルイよ』ということをまずしっかりと伝えることからスタートだと思います。
仏教のお話をしますと“身口意の業”というのがあるんです。身というのは体の業、体を傷つけたり盗みを働いたりすること。口が口の業、嘘をついたり悪口をいったりすること。意というのが心です。
今回、彼女はそんなつもりはなかったかもしれないんですが、口の業といいましてやはり嘘をついていたと思うんです。
嘘ではないというかもしれませんが、彼女は1年半の間になんらかのごまかしとか なんらかのカモフラージュをしてきたと思うんです。でも彼女だけを責めるんではなくふたりの関係性です。
嘘という字は口に虚しいと書きますが、いったことは自分の胸にも虚しく響きますんで、どうかこれを機会にふたりの関係性を深めてたしかめ合ってほしいなと思います。
弥勒菩薩の解答
Aさんにたった一言。
『おまえはアホか』━━これだけである。
なに相手の女性に100点満点を求めているのだ?本当に好きならばバツイチだろうと子持ちだろうとなにも関係はないだろう。
人間誰しも知られたくないことなどいくらでもあるものだ。小池和尚もいっているように、Aさんだってカノジョには秘密していることはいくらでもあるはず。お互いさまである。
完璧に理想的な結婚相手など存在しない。完璧を求めるからつらくなるのであり、多少の欠点くらい『ま、いいか……』と大目に見て許せばいいだけのことなのである。
また、カノジョが子持ちであることを隠していたことを“ズルイ”と感じるようだが、隠していた理由はカノジョ自身いっていたように“きらわれたくなかったから”というものなのだ。Aさんのことを真剣に好きだからこそ知られたくなかったのだ。そんなカノジョに対して『僕のために苦しみ、悩み続けていたんだね。なんてやさしく思いやりのある人なんだ』という感情が生まれて愛情がますます増大こそすれ、『卑怯だ!ズルイ!』という怒りや不信感を抱くのは筋ちがいであり、はっきりいってケツの青い子供の価値観である。
バツイチな上に子持ち━━たしかに驚きや戸惑いはあるだろう。しかし完璧な人間などいない。それにカノジョは『きらわれたくない』という理由から隠し続けていたのだ。苦悩に苛まれ続けてきたカノジョを『気にすることはない。僕が君を守ってあげる』と思いこそすれ、非難の目と感情を向けるのは大きなまちがいである。
最後にもうひとつ。バツイチ&子持ちである事実を告白するタイミングについて議論がかわされていたが、自分に明らかに不利になる情報をしょっぱなから堂々と打ち明けられる勇気と度胸のある人間が何人いるというのだろうか?
あなたにその勇気がありますか?あなたにその度胸がありますか?『ある』と答えられた人は圧倒的少数なはずである。
人間は弱いもの。告白のタイミングが遅すぎたとしても、別に卑怯でもズルイわけでもない。弱い人間として当然のことなのである。