自宅のご近所さんの夏の庭
綺麗にお手入れされ青々茂る緑の中に
真珠の粒のような艶やかな白い花が
あちこちに浮かび上がる♪
毎年ご近所さんの夏庭を通りかかるたびに
濃い緑に冴え冴えと映えるその花が
ずっと気になっていました。
*
やっとその花の名前が判ったのは、
5年前の7月
初めて訪れた玄番ファームでのことでした
緑陰テラスに差し込んだ木漏れ日が
スポットライトとなって
宙に浮かび上がって見えた花が
ずっと気になっていたあの花と同じ花♪
スタッフの方に名を尋ねると
『ヤブミョウガ』とのことでした
あいにく苗を切らしているとの事でしたが
その後『ご近所さん』とブロ友さんから
種を分けていただくことが出来、
今はコテージガーデン夏庭の
スタンダードとなっています
夏の白い花に始まり
秋の青い実を愛でるまで続く長い楽しみ
その一方で
根茎と零れ種から殖えすぎる点はちょっと…
・・・*・・・
今まで庭の一植物としての存在であった
ヤブミョウガですが、
今夏たまたまツユクサ科であると知り、
好奇心がムクムク!!
だって、一見しただけでは
野生種のツユクサにも
園芸種のムラサキツユクサにも
観葉植物のトラディスカンチアにも
全く似ていませんものね
ツユクサである証拠を掴まないことには
これはもう納得できない!!
ということで、
ここから始まる?解きは長くなりますので、
興味が無い方はスルーしてください
*
ヤブミョウガ:ツユクサ科ヤブミョウガ属
東アジアに分布(日本では関東以南)
花には両性花と雄花がある
藪などの湿り気の多い土地を好む
ミョウガの葉に似た葉を持つことから命名
*
まずは花の咲き進む様子から
直立した茎の先端に花序を付け
放射状の花序が段数を増やしながら
上へと咲き進む
途中の包葉から腋花を伸ばし
こちらも段々になっていく
この画像では花序は7段になっている
花後の果実は白から薄緑に
そしてやがて濃い青紫色に
*
さあ、ツユクサ科の証拠を掴みましたよ!
下の2枚の画像は、
それぞれ午前と午後に撮影したものです
花の部分を拡大してみましょう
外側の半カップ状の3枚は萼
内側のやや扁平な3枚が花びら
ムラサキツユクサに似た花形かな!?
(ムラサキツユクサの3枚の萼は小さいので
花びらの陰に隠れている)
そして何よりも
午前中は形が整っていた花びらが
午後には萎れて縮まっていますね
これぞ、ザ・ツユクサ!と納得
ところでこの花(↑)は
長い雄しべ6本を持つ雄花♂なんですって!
*
じゃあ、雌花♀はどれ?
開花している花はみんな同じ形で
長い雄しべを持ち、全て雄花のようです
雄花の他は全部白い玉粒の形です
白い粒をじっくり観察すると
どうやら3種類に分けられるみたい……
上の方に見えるまん丸い粒は
花後の結実に間違いないでしょうね
その他は大小あってみんなハート型
ハート型をさらに ようく見ると
角があるものとないものと……
開花している花らしいものはないよねぇ……
いったい♀雌花はどれなの?
♂雄花だけでは実が出来ないよ!!
ウエブサイトで調べたら、
角があるハートが、雌花両性花なんですって
角みたいなものは雌しべなんですね
どうやら雄花と両性花はワンセットで
同じ花軸に隣り合って咲くようです
この両性花の様子は
花が咲いている(開花)と言えるのかしら!?
1番外側は萼に間違いなし!
雌しべの存在は判ったけど
両性花というからには雄しべもあるはず
それに花びらはどこ?
どのサイトにも、両性花も
花びら3枚、萼3枚、長い雌しべ1本、
短い雄しべ6本とあるのですが
花の構造図解等は見つかりませんでした
こうなったらもう
両性花を解体するしかないでしょ!
ということで、やりました!
ピンセットで萼を1枚剥がしました
萼の長さは3~4mmです
これ以上鮮明な画像は無理でした
中には何やら茶っぽいものが…
筋のように見えるのが雄しべかな?
萼を全部剥がしたらよく分かるかな?
花びららしいものが3枚確認出来ました
雄花のように白い花びらではなく
キャラメル色の花びらです
雌しべの花柱のあたりの粒々が
雄しべの葯のようです
そうか、そうだったのか
両性花の萼の隙間に見えた茶色は
汚れや傷みではなく、
これが花びらだったのですね
萼も花びらも開くことなく
(萼は少し開いて隙間を作るみたい…)
雄しべも萼の中に姿をかくしたまま
唯一、受粉に重要な雌しべだけが
外に現れる咲き方だったんだね!
一応雄しべがあるから
両性花ということになるのだろうけど
受粉能力なしの役立たずの雄しべで
雌花といったほうが相応しいみたい!
雄花と両性花がセットで咲いて
雄花の花粉が雌しべにくっつく仕組み
受粉を助けようと、小さな虫が
いつも周辺に待機しているんです
(↑)ここにも3匹いる!
*
A♂と1♀は、本日受粉のために咲いたペア
2は昨日以前に受粉を終え、結実した両性花
パートナーだった♂の姿はありません
B♂と3♀は、明日以降のペア
♂が開花前に、雌しべのスタンバイ完了
Bの下に見える角のない白い粒は
雄花と両性花の蕾なんですね
こうして結実した実が花軸に並びました
花軸の先端には蕾も確認出来ます
実の色は白から薄緑そして緑へと移ろいます
実が付いている節ごとにある茶色は
雄花の落花の跡なのでしょう
*
花軸を伸ばしながら
次々花を咲かせようとするヤブミョウガ
産婆(?)の虫さん達も待機中です
雄花の花径は8mm程度なので
老眼の眼にはハードな観察でした
でも、?が解決してスッキリ~♬
これからヤブミョウガを見る目が
変わることでしょう。